判旨
強姦致傷罪は、当時の刑法等の規定に照らし、告訴を必要とする親告罪には当たらない。
問題の所在(論点)
強姦致傷罪(当時の刑法181条)は、強姦罪(同177条)と同様に告訴を必要とする親告罪か、それとも非親告罪か。
規範
特定の犯罪が親告罪に該当するか否かは、刑法等の実体法上の規定の有無によって決せられる。強姦罪については告訴を必要とする旨の規定があるが、強姦致傷罪のように結果的加重犯として重く処罰される類型については、特段の規定がない限り、非親告罪として扱われる。
重要事実
被告人Aら4名は、強姦致傷罪の容疑で起訴され、有罪判決を受けた。これに対し弁護人は、自白の強制による違憲や事実誤認を主張するとともに、強姦致傷罪が親告罪であることを前提として、有効な告訴等の訴訟条件が欠けている旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、弁護人の主張に対し「強姦致傷罪は親告罪ではない」と簡潔に判示した。これは、当時の刑法180条が強姦罪(177条)等を親告罪と定めていた一方で、強姦致傷罪(181条)については告訴を要する旨の準用規定を置いていなかったという法文の形式的解釈に基づくものと解される。したがって、本件において告訴の欠如を理由とする訴訟条件欠陥の主張は、前提を欠くものといえる。
結論
強姦致傷罪は親告罪ではない。したがって、告訴がなくても公訴を提起し、処罰することができる。
実務上の射程
本判決は、結果的加重犯(強姦致傷罪)が基本犯(強姦罪)の親告罪規定の制約を受けないことを明確にした。なお、平成29年の刑法改正により強姦罪(現在の強制性交等罪)自体が非親告罪化されたため、現在の実務において「告訴の有無」が問題となる場面は消失しているが、法文に規定のない要件を付加しないという解釈手法としては依然として基本的である。
事件番号: 昭和24(れ)1410 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
所論は、弁護人は原審において「本件は単純強姦罪と認むべきであつて、被害者の告訴が取下げられた以上免訴すべきものである」旨公訴権消滅免訴の原由たる主張をしたから、原審はこれに対する判断を示すべきであつたにかかわらずこれを示さなかつた違法があると言うのである。しかしながら、右弁護人の主張は単純強姦罪の事実を前提とするもので…