一 しかし旧労働組合法第一条第二項の規定は同条第一項の目的違反のためにした正当な行為についてのみ刑法第三五条の適用を認めたに過ぎず勤労者の団体交渉においても刑法所定の暴行罪又は脅迫罪にあたる行為が行われた場合にまでその適用があることを定めたものでないことは当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第三一九号、同二四年五月一八日大法廷判決、判例集三巻六号七七二頁以下参照)とするところであるから原判決には所論のような違法はない。 二 姦淫行為は被告人等各自の姦淫行為であるけれども、因つて生じた致傷の結果は被告人等中の何者かが被害者の処女膜に裂傷を与えたという単一の傷害の結果を発生させたことに帰するものであつて、被告人等三名各自の行為に因る三個の傷害でないこと明白である。しかるに、原判決は三個の強姦致傷罪成立し被告人三名各自が三個の併合罪の責を負うべきものと解したのは失当である。
一 旧労働組合法第一条第二項の規定の趣旨 二 被告人三名の姦淫により致傷の結果を生ぜしめた行為の罪数
旧労働組合法(昭和24年6月法律174号による改正前のもの)1条,刑法35条,刑法181条,刑法177条,刑法45条
判旨
共謀の上で順次姦淫行為に及び、その過程で単一の致傷結果が生じた場合、各自の姦淫行為ごとに独立の強姦致傷罪が成立するのではなく、共同正犯として一個の強姦致傷罪が成立する。
問題の所在(論点)
共謀に基づく順次姦淫の過程で単一の傷害結果が生じた場合、罪数はどのように解すべきか。また、処女膜裂傷は強姦致傷罪における「傷害」に含まれるか。
規範
強姦の共謀に基づき、共同の脅迫を用いて各自が順次姦淫行為を行った場合において、その一連の行為から単一の致傷結果が生じたときは、刑法60条によりその全体が一個の強姦致傷罪の共同正犯となる。致傷の結果が特定の者の行為によって生じたことが不明であっても、共謀に基づく一連の実行行為と因果関係がある限り、全員がその責を負う。
重要事実
被告人3名は、19歳の婦女を人気のない山中に連行して強姦することを共謀した。被告人らは共同して脅迫を加え、各自が順次姦淫行為に及んだ。その結果、被害者は処女膜裂傷という単一の傷害を負った。原審は、被告人3名に対し、各自の姦淫行為ごとに独立した罪が成立するとし、3個の強姦致傷罪の併合罪として処断していた。
あてはめ
まず、処女膜裂傷は強姦致傷罪(刑法181条)にいう傷害に該当すると解するのが相当である。次に罪数について検討するに、本件における致傷の結果は、被告人らのいずれかが被害者に与えた単一の結果であり、被告人ら3名各自の行為に対応する3個の独立した傷害が生じたわけではない。したがって、共謀に基づき一連の態様で行われた本件行為については、各自が一個の強姦致傷罪の共同正犯としての責任を負うにとどまる。原審がこれを3個の併合罪としたのは、事実関係と罪数の解釈を誤ったものといえる。
結論
被告人3名には、いずれも一個の強姦致傷罪の共同正犯(刑法60条、181条)が成立する。
実務上の射程
集団強姦等の場面で、誰の行為によって負傷したかが特定できない場合や、一連の暴行・脅迫の過程で負傷した場合に、共謀共同正犯の枠組みで一個の重い罪(致死傷罪)として処断するための基礎となる判例である。実務上、数人が順次行った行為を包括して一個の犯罪と評価する際の指針となる。
事件番号: 昭和24(れ)1530 / 裁判年月日: 昭和24年10月8日 / 結論: 棄却
本件強姦は、所論六名の者の通謀行爲であることは、原判決舉示の證據である原審公判廷における右六名の供述として、一人が姦淫している間他の者等はそれぞれ被害者の手足を押えた上、順次全員において輪姦した旨の供述によつて寔に明らかなところである。しからば本件強姦致傷の結果については、右六名中の何人がこれを與へたかについては明確で…
事件番号: 昭和24(れ)1751 / 裁判年月日: 昭和25年11月9日 / 結論: その他
一 原判決が所論の犯罪事実を認定し、これに対し所論の刑法の法条の外少年法をも適用し結局新少年法第五一条に徒い被告人両名を各拾年以上拾五年以下の懲役に処したことは所論のとおりである。そして新少年法第五一条の法文と同第五二条の法文とを対照し、同第五八条第五九条の法文をも参酌すれば、同第五一条は、拾年以上拾五年以下の刑の範囲…