一 原判決が所論の犯罪事実を認定し、これに対し所論の刑法の法条の外少年法をも適用し結局新少年法第五一条に徒い被告人両名を各拾年以上拾五年以下の懲役に処したことは所論のとおりである。そして新少年法第五一条の法文と同第五二条の法文とを対照し、同第五八条第五九条の法文をも参酌すれば、同第五一条は、拾年以上拾五年以下の刑の範囲内で長期と短期とを定めていわゆる不定期刑を言渡すという趣旨ではなく、拾年以上拾五年以下の範囲内において懲役又は禁錮の定期刑を科するという法意であること明瞭である。蓋盡し少年法にいわゆる不定期刑とは、懲役又は禁錮の自由刑で短期五年、長期拾年を越えない実刑に限り、その執行の終了(釈放)を短期を越えたときは行刑官の裁量に一任する刑いうものであつて、短期拾年を越えるがごとき不定期刑を認る趣旨ではないからである。されば、原判決が被告人両名に対しいづれも前示の不定期刑を科したのは、新少年法第五一条の解釈適用を誤つたもので論旨はその理由があつて原判決は破棄を免れない。 二 最高裁判所において、破棄自判するに当り、原判決当時被告人は少年であつたが、事件が最高裁判所に繋属中成年となつた場合には、少年法を適用すべきものではない。
一 少年法第五一条の法意と同法にいわゆる不定期刑の意義 二 最高裁判所において破棄自判するに当り同裁判所に事件繋属中成年に達した場合に少年法適用の有無
少年法(昭和23年法律186号)51条,少年法2条,旧刑訴法448条
判旨
共謀に基づく強姦行為により傷害が生じた場合、実行行為を分担していない者や、特定の誰が傷害を生じさせたか不明な場合であっても、共謀者全員が強姦致傷罪の共同正犯としての責任を負う。
問題の所在(論点)
強盗の実行行為を直接担当せず見張りに留まった者に強盗罪の共同正犯が成立するか。また、数人の共謀による姦淫行為から傷害が生じた際、具体的な加害行為者が特定できない場合に全員が強姦致傷罪の責を負うか(刑法60条、旧181条、241条)。
規範
特定の犯罪を遂行する共謀があり、その共謀に基づく実行行為によって結果が発生した場合には、共謀者の一部が直接実行行為に加担していない場合や、結果を惹起した直接の行為者が特定できない場合であっても、共謀者全員がその結果について共同正犯としての責任を負う。
重要事実
被告人Aは、他の相被告人らと強盗を共謀し、被害者宅への案内および見張り役を担当した。被告人B、C、および原審相被告人Dの3名は、被害者の窮状に乗じて意思を通じ、順次これに姦淫し、その過程で被害者に傷害を負わせた。BおよびCは、誰の行為によって傷害が生じたか不明であること等を理由に、強姦致傷罪の成立を争った。
あてはめ
まず被告人Aについて、強盗の共謀に基づき案内や見張りという重要な役割を分担している以上、直接の実行行為がなくとも強盗罪の共同正犯が成立する。次に、被告人BおよびCについて、両名はDと共に共謀の上で順次姦淫を行っており、その一連の行為から傷害の結果が発生している。この場合、傷害が三名のうち誰の行為から生じたか判然としないとしても、共謀に基づく行為から生じた結果である以上、共謀者全員がその責を免れることはできない。したがって、両名には強姦致傷罪の共同正犯が成立すると解するのが相当である。
結論
被告人Aに強盗罪の共同正犯が、被告人BおよびCに強姦致傷罪の共同正犯がそれぞれ成立する(原判決の不定期刑に関する解釈誤りを除き、有罪判断は正当)。
実務上の射程
共謀共同正犯における実行行為の分担(見張り等)および、結果的加重犯(強姦致傷等)における一部実行全部責任の原則を確認した判例である。答案上は、現場共謀や順次共謀が認められる事案において、物理的加害行為の特定が困難な場合でも共同正犯を基礎付ける論拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1530 / 裁判年月日: 昭和24年10月8日 / 結論: 棄却
本件強姦は、所論六名の者の通謀行爲であることは、原判決舉示の證據である原審公判廷における右六名の供述として、一人が姦淫している間他の者等はそれぞれ被害者の手足を押えた上、順次全員において輪姦した旨の供述によつて寔に明らかなところである。しからば本件強姦致傷の結果については、右六名中の何人がこれを與へたかについては明確で…
事件番号: 昭和23(れ)1370 / 裁判年月日: 昭和24年1月11日 / 結論: 棄却
被告人が相被告人と共謀の上、強盜をした事實を認定している原判決において、二人共謀の事實と共犯者のどちらかが現實に脅迫の實行行爲をしたことが判分上明確である以上、共犯者のうちどちらかが現實に實行行爲をしたかを明示していなくても、被告人の「罪トナルヘキ事實」の判示として缺くるところはない。