判旨
競馬や宝くじ等を公認する特別法の存在によって、直ちに刑法の賭博及び富くじに関する罪の規定が廃止されたものと解することはできない。
問題の所在(論点)
競馬・競輪・宝くじ等の公認立法が存在する場合に、刑法の賭博罪規定の効力が否定されるか(賭博罪規定の改廃または違憲性の有無)。
規範
特定の公営競技や富くじを例外的に許容する法律が制定されたとしても、それによって刑法上の賭博罪等の規定が一般的に廃止・無効化されるものではない。
重要事実
被告人は、常習賭博の前科を有しており、昭和25年12月から昭和26年2月までの間に数回にわたって賭博を反復した。被告人側は、競馬、競輪、宝くじ等が法律で公認されている現状に鑑みれば、刑法が禁じる賭博罪の規定はもはや失効しており、適用できないものである(違憲である)と主張して上告した。
あてはめ
最高裁判例(昭和25年11月22日大法廷判決)の趣旨に照らせば、特別法による例外的な公認は、刑法の賭博禁止規定を全般的に廃止する根拠にはならない。本件において被告人は短期間に数回の賭博を反復しており、その態様は公認された例外的な行為には当たらない。したがって、刑法上の常習賭博罪の規定を適用して処罰することは正当である。
結論
刑法の賭博罪規定は失効しておらず、本件の行為に適用される。上告を棄却する。
実務上の射程
特別法による違法性阻却(適法化)と、刑法罰則の存否(実質的廃止)を峻別する視点を示す。賭博罪の保護法益や、法令による行為(刑法35条)としての限界を検討する際の前提知識として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)982 / 裁判年月日: 昭和26年5月1日 / 結論: 棄却
賭博及び富籖に関する行為が風俗を害し公共の福祉に反するものというべきこと勿論であつて、政府乃至都道府縣が自ら賭場開帳図利若しくは富籖罪と本質上同一の行為を為すこと自体が適法であるか否か又これを認める立法の当否は問題となるが原に犯罪行為と本質上同一である或る種の行為が行われているという事実並にこれを公認している立法がある…