判旨
詐欺罪において、犯行後に騙取物品の代金の一部を支払ったり代金の減額を受けたりしたとしても、既に成立した犯罪の成否を左右するものではない。
問題の所在(論点)
詐欺罪の既遂後に、騙取物品の代金の一部支払や代金減額といった被害回復的措置が講じられた場合、詐欺罪の成立が阻却されるか。
規範
詐欺罪(刑法246条)の既遂時期は、欺罔行為により相手方が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて財物の交付がなされた時点である。一度犯罪が既遂に達した以上、その後に被害回復を図る行為がなされたとしても、成立した犯罪を阻却(消滅)させる事後的な事情にはなり得ない。
重要事実
被告人は、第一審判決で認定された詐欺の事実につき、犯行後に騙取した物品の代金の一部を支払ったこと、または代金の減額を受けたことを主張した。被告人側は、これらの事後的な清算行為が存在することから、詐欺罪の成立が否定されるべきであると争った。
あてはめ
本件において、被告人は詐欺の手段を用いて物品を騙取している。犯罪成立後の事情である「代金の一部の支払い」や「代金の減額」は、成立した犯罪を遡及的に消滅させるものではない。これらは情状に関する事実にはなり得るものの、構成件等該当性や違法性を左右するものではないため、詐欺罪の成立を妨げない。
結論
犯罪成立後に代金の一部支払等があっても、詐欺罪の成立は阻却されない。
実務上の射程
財産犯全般における既遂後の事情(被害弁償等)が犯罪の成否に影響しないことを示す基本判例である。答案上は、事後的な利益返還等がある事案において、犯罪成立を否定しようとする主張を排斥する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)3090 / 裁判年月日: 昭和27年3月18日 / 結論: 棄却
所論は、刑訴規則二四六条違反を前提として原判決の憲法違反を主張するものであるが、同条において判決書に記載を要求せられているのは重要な答弁の要旨であるところ、原審公判調書によれば、検察官は、原審において単に弁護人の論旨は理由がないと思料するから控訴棄却の判決を求める旨答弁しているに過ぎないのであつて、右答弁が、同条にいわ…