判旨
数個の同一犯罪について、それぞれの犯情に軽重の差がない場合には、判決においていずれの犯罪の犯情が重いかを具体的に明示する必要はない。
問題の所在(論点)
数個の同一犯罪が認定される場合、判決において各犯罪の犯情の軽重を個別に特定し、明示しなければならないか。
規範
判決における量刑の理由説明において、同種の数個の犯罪事実が認定されている場合、それらの間に犯情の軽重が認められないときは、個々の犯罪事実の情状を比較して重軽を特定・明示する必要はない。
重要事実
被告人が数個の同一犯罪を犯したとして起訴され、原審において有罪判決が下された。弁護人は、判決においていずれの犯罪の犯情が重いかが明示されていないことは大審院判例に違反し、上告理由(刑事訴訟法405条)に該当すると主張した。
あてはめ
本件において、数個の同一犯罪の間に犯情の軽重がないときには、あえて特定の犯罪が他より重いと判示する実益はない。したがって、判決においていずれの犯情が重いかを特に明示しなかったとしても、判決の正当性は損なわれず、違法とはいえない。
結論
数個の同一犯罪間に犯情の軽重がない場合、その重軽を判決に明示する必要はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
併合罪(刑法45条前段)などで複数の同種犯罪が認定される際、量刑の理由の程度を画する。各罪の情状に顕著な差がない限り、一括した情状判断であっても理由不備の違法とはならないことを示す実務的な基準となる。
事件番号: 昭和27(あ)2986 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の「判例」とは、特定の事案における具体的な量刑理由の判示を指すものではなく、他の事案にも共通して適用されるべき法律的見解を示すものをいう。 第1 事案の概要:被告人が第一審の量刑を不当として控訴したが、原審がこれを棄却したため上告した事案である。弁護人は、名古屋高等裁判所の判決を…