判旨
裁判所が諸般の事情を考慮した上で被告人に実刑を科すことは、個人の尊厳や幸福追求権を規定する憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人に対して実刑を科すことが、憲法13条(個人の尊厳、幸福追求権)に違反するか、という点。すなわち、刑罰権の行使(自由刑の執行)と幸福追求権の制限の関係が問題となった。
規範
裁判所が個別の事案における諸般の事情(犯情、被告人の境遇、性格等)を総合的に考量し、その裁量によって被告人に実刑(自由刑の執行)を科す判断を下すことは、憲法13条に反するものではない。
重要事実
被告人が刑事裁判において実刑判決を受けたのに対し、弁護人は「実刑を科すことは憲法13条に違反する」と主張して上告した。原審における具体的な犯罪事実は本決定文からは不明であるが、量刑の不当を憲法違反に擬して主張したものと判断された。
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決(昭和23年3月24日判決)を引用し、刑事裁判において裁判所が諸般の事情を適切に考量した結果として実刑を科すことは、法に基づく正当な権限行使であると判断した。被告人の幸福追求権も公共の福祉(刑事司法の目的達成)による制約を受けるものであり、適正な量刑判断に基づく実刑は、憲法13条が保障する個人の尊厳を不当に侵害するものとはいえない。
結論
裁判所が諸般の事情を考量して実刑を科しても憲法13条には違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反として主張する際の上告理由の適格性に関する判例である。答案上では、刑罰による基本権制限が「公共の福祉」による正当な制限として認められる根拠(憲法13条後段)を確認する際の端緒として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)3920 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実審が諸般の情状を考慮した上で実刑を言い渡したとしても、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cがそれぞれ上告した事案において、被告人Cの弁護人は、実刑の言い渡しが憲法31条(適正手続)および憲法13条に違反すると主張した。判決文からは具体…
事件番号: 昭和25(あ)710 / 裁判年月日: 昭和26年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実審裁判所が被告人に対し執行猶予を付さず実刑を科すことは、法律が認めた裁判所の自由裁量の範囲内であり、憲法13条の個人の尊厳や憲法25条の生存権に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は刑事事件において、第一審判決により実刑の言渡しを受け、刑の執行猶予を付されなかった。被告人側は、生活苦のために…