判旨
事実審が諸般の情状を考慮した上で実刑を言い渡したとしても、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)に違反するものではない。
問題の所在(論点)
事実審が諸般の情状を考慮した上で実刑の言い渡しを行うことが、憲法13条に違反し、被告人の基本的人権(幸福追求権)を侵害するか。
規範
適正な手続を経て行われる事実審の量刑判断において、諸般の情状を考慮した上で実刑を言い渡すことは、憲法13条の保障する幸福追求権等を侵害するものではなく、憲法に抵触しない。
重要事実
被告人A、B、Cがそれぞれ上告した事案において、被告人Cの弁護人は、実刑の言い渡しが憲法31条(適正手続)および憲法13条に違反すると主張した。判決文からは具体的な犯罪事実の詳細は不明であるが、一審・二審において諸般の情状を考慮した上での実刑判決が下されていた。
あてはめ
憲法13条は個人の尊厳と幸福追求権を尊重する旨を定めているが、公共の福祉による制限を免れるものではない。裁判所が法に基づき、諸般の情状を適切に評価して量刑を決定した以上、その結果として実刑となることは、法秩序維持の観点から許容される。本件においても、事実審が諸般の情状を考慮して下した実刑判決は適法な裁量権の行使といえる。
結論
事実審が諸般の情状を考慮した上で実刑の言渡しをしたとしても、憲法13条に違反しない。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
量刑判断の憲法適合性を争う際の反論として機能する。被告人側が「実刑は過酷であり幸福追求権を侵害する」と主張したとしても、適正な手続と情状の考慮がある限り、本判例を引用して憲法違反を否定する論法が可能である。ただし、司法試験の答案上では、具体的妥当性を欠く著しく不当な量刑については、憲法違反というよりは「量刑不当」の問題として処理するのが一般的である。
事件番号: 昭和27(あ)3381 / 裁判年月日: 昭和28年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が諸般の事情を考慮した上で被告人に実刑を科すことは、個人の尊厳や幸福追求権を規定する憲法13条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において実刑判決を受けたのに対し、弁護人は「実刑を科すことは憲法13条に違反する」と主張して上告した。原審における具体的な犯罪事実は本決定文からは不…
事件番号: 昭和27(あ)6732 / 裁判年月日: 昭和28年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」とは、不必要な苦痛を伴う処罰形式や、人道上の観点から是認できない刑罰を指す。また、実質的に量刑不当を主張する上告は、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪に対し、下級審において言い渡された量刑について、弁護人が憲法36条の「残虐な刑罰」…