判旨
勾留更新決定に違法があったとしても、その一事をもって直ちに原判決自体やその基本となった審判手続に違法があるとはいえない。
問題の所在(論点)
勾留更新決定の違法が、刑事訴訟法上の判決に対する上告理由(判決に影響を及ぼすべき法令の違反等)となり得るか。
規範
勾留に関する決定は、終局判決に向けた審理手続そのものではなく、被告人の身分拘束に関する付随的な手続である。したがって、勾留更新決定に違法がある場合には、抗告等の特別の手続によって不服を申し立てるべきであり、その違法は原則として終局判決(原判決)の違法事由とはならない。
重要事実
被告人が原審のした勾留更新決定の違法を主張し、これを理由に原判決の取消しを求めて上告した事案である。弁護人は、当該勾留更新決定が不当であることにより、原判決の基本となった審判手続に違法がある旨を主張した。
あてはめ
仮に勾留更新決定に所論のような違法があったとしても、それは被告人の身体拘束の当否に関する判断の誤りにとどまる。かかる付随的手続の違法は、直ちに実体的な審理の結果である原判決自体の違法や、原判決の基礎となる審理手続の違法を構成するものではない。よって、本件の主張は適法な上告理由には該当しない。
結論
勾留更新決定の違法は原判決の違法を導くものではなく、上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟手続の法令違反が「判決に影響を及ぼすべき」もの(刑訴法379条等)といえるかという論点において、身分拘束等の付随的手続の違法と実体判決の関連性を否定する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)4246 / 裁判年月日: 昭和27年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原判決の宣告後になされた勾留更新決定の違法は、原判決に影響を及ぼさないことが明白であるため、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が勾留更新決定の違法を理由に上告を申し立てた。しかし、当該勾留更新決定(昭和27年7月1日および17日付)は、第2審の原判決が宣告された日(同年6月10…