判旨
共犯者の第一審公判供述が後の公判で取り消された場合であっても、その供述が直ちに証拠力を失うものではなく、旧供述と新供述のいずれを信用するかは裁判所の自由な心証に委ねられる。
問題の所在(論点)
公判廷における共犯者の供述が後の公判で取り消された場合、その供述の証拠力は否定されるか。また、それは裁判所の自由な心証の範囲内か。
規範
公判廷における共犯者の供述が後の公判で変更・取消された場合であっても、前後の供述のうちいずれを採用するかは、裁判所の自由な心証(証拠評価)の問題であり、前の供述が当然に証拠能力や証拠力を失うものではない。
重要事実
被告人が強盗罪に問われた事案において、第一審の公判で被告人に不利な供述をしていた相被告人が、控訴審(原審)の公判廷に至ってその供述を取り消した。弁護人は、供述が取り消された以上は第一審の供述を証拠として採用できない旨を主張して上告した。また、被告人が当時負傷していたとの事実や、別事件の証人尋問調書等の証拠採用の妥当性についても争われた。
あてはめ
相被告人が第一審の公判でなした供述は、後に控訴審で取り消されたとしても、そのことのみをもって証拠力を失うわけではない。第一審の供述と控訴審の供述のいずれを採用するかは、証拠の信用性判断として裁判所の自由な心証に委ねられている。本件において、相被告人の第一審供述が任意になされたものでないと疑われる資料は存せず、原審がその信用性を認めて事実認定の基礎としたことに経験則違反や審理不尽の違法は認められない。
結論
共犯者の旧供述の証拠力を認めた原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
公判廷供述の変遷がある場合における証拠評価の自由を認めた判例。伝聞例外の問題(刑訴法321条1項2号後段)とは別に、一度適法に現出された公判廷供述の信用性判断の枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和25(あ)911 / 裁判年月日: 昭和26年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の公判供述は、他の被告人との関係では証人としての供述または書証としての公判調書の性質を有し、これらを証拠として事実を認定することは適法である。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが起訴された事件において、第一審は相被告人(共犯者)であるCの公判供述(昭和24年9月5日付)を証拠として採用し、…
事件番号: 昭和26(れ)1659 / 裁判年月日: 昭和26年11月6日 / 結論: 棄却
判決の証拠説明に架空の証拠を挙げていても、それが誤記であること明らかで全然存在しないものであるときは、事実認定の心証に影響を及ぼす筈なく、従つて判決にも影響を及ぼす虞は全然ないものであるから、判決破棄の理由にならない。