所論の訊問調書が第一審裁判所の公判廷外でした証人訊問の調書であることは所論のとおりであるが右訊問調書によれば、弁護人が裁判官に告げて証人(A)に訊問していることが認められ、所論証人訊問調書は公判廷外で被告人の弁護人立会の上でなされた所論証人の訊問調書であつてかかる調書には、刑訴応急措置法一二条の規定が適用されないものと解すべきことは、昭和二四年(れ)七号同年六月一六日第一小法廷判決並びに同二五年(れ)第二七三号同年一一月一五日大法廷判決(判例集四巻一一号二三〇九頁)に示すとおりである。
弁護人の立会した第一審公判廷外証人訊問調書と刑訴応急措置法第一二条
刑訴応急措置法12条,憲法37条2項
判旨
裁判所が公判廷外で行った証人訊問の調書について、被告人の弁護人が立ち会い、かつ訊問権を行使する機会が保障されていた場合には、受命裁判官等による訊問調書の証拠能力に関する制限規定は適用されず、適法に証拠とすることができる。
問題の所在(論点)
裁判所が公判廷外で作成した証人訊問調書について、弁護人が立ち会い訊問権を行使していた場合に、伝聞証拠としての制限(刑訴応急措置法12条)を受けることなく証拠能力を認めることができるか。
規範
公判廷外で実施された証人訊問の調書であっても、被告人の弁護人が立会い、裁判官を通じて訊問を行っているなど、実質的な反対訊問の機会が保障されている場合には、伝聞例外としての厳格な要件(当時の刑訴応急措置法12条、現行法における321条1項1号後段参照)の適用を受けず、証拠能力が認められる。
重要事実
第一審裁判所が公判廷外で証人Aの訊問を行い、その結果を録取した証人訊問調書を作成した。この訊問の際、被告人の弁護人(福島弁護人)が立ち会っており、裁判官に対して告げる形で証人に対する訊問を行っていた。この事実は、同機会に行われた検証の調書に弁護人が立ち会った旨の記載があることからも推認された。原審はこの調書を証拠として採用したが、被告人側はこれが違法であるとして上告した。
あてはめ
本件の証人訊問調書によれば、被告人の弁護人が裁判官を介して証人Aに訊問していることが認められる。また、同機会の検証調書の記載から、当該弁護人が被告人の弁護人本人であることも容易に推認できる。このように、公判廷外であっても被告人の弁護人の立会いと訊問の機会が実質的に確保された状況で作成された調書については、伝聞法則による制限の趣旨が妥当しないため、適法な証拠として取り扱うことができる。
結論
被告人の弁護人が立ち会った公判廷外の証人訊問調書を証拠に採用した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
現行刑訴法321条1項1号の解釈において、受命裁判官等による訊問調書が「供述者が公判準備等において供述不能」であること等の要件を要するかどうかの議論に関連する。本判決は、弁護人の立会いと訊問機会の確保を重視し、手続的保障が完遂されている場合には証拠能力を広く認める傾向を示すものとして、伝聞例外の制度趣旨(反対訊問権の代替的保障)を説明する際の補強材料として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)1457 / 裁判年月日: 昭和27年11月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が供述調書の証拠採用に同意している場合、伝聞法則の例外として適法に証拠能力が認められ、訴訟手続上の違法は存在しない。 第1 事案の概要:検察官が第一回公判廷において書証の取調請求を行ったが、後にこれを取り下げ、裁判官も取調べない旨の決定を下した。一方で、特定の供述調書(本件ではAの供述調書)…