判旨
共犯者間での量刑の不均衡が憲法上の公平な裁判に反するか、及び判決書における量刑理由の記載義務の有無について判断した。
問題の所在(論点)
1. 共犯者間での量刑の不均衡が、憲法にいう「公平な裁判」に違反するか。 2. 判決書において、量刑の具体的な理由を説明する必要があるか。
規範
1. 憲法上の「公平な裁判所の裁判」とは、個別の被告人に対する適切な量刑を求めるものであり、共犯者間で同一の刑期が言い渡されたとしても、直ちに公平の原則に反するものではない。 2. 刑事訴訟法上、量刑の具体的な理由については、判決書の中に詳細に説明することを要しない。
重要事実
被告人と相被告人Aの量刑において、本来であれば相当の差異を設けるべき事情があったにもかかわらず、原審が両者に対して同一の刑期を言い渡した。弁護人は、この量刑の不均衡が憲法に規定する「公平な裁判」に反すること、および量刑理由の説明に矛盾・齟齬があることを理由に上告した。
あてはめ
1. 共犯者Aと被告人の間に量刑上の差異を設けるべき事情があったとしても、同一刑期の言い渡しが直ちに不当な差別や不公平をもたらすものではない。これは当裁判所の累次の判例が示すところである。 2. 量刑の理由については、訴訟法上、判決の中でその詳細を説明すべき義務は課されていない。また、本件原判決においては、その理由説明において前後矛盾するような不合理な点は認められない。
結論
共犯者間の量刑不均衡は直ちに憲法違反とはならず、また量刑理由の記載欠如や説明の不備も、直ちに違法とはいえないため、上告を棄却する。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反(公平な裁判を受ける権利の侵害)として構成する主張に対する反論として機能する。また、刑訴法上の判決書への理由記載義務(335条1項等)の解釈において、量刑事情の記載の程度については広範な裁量が認められることを示す指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)1912 / 裁判年月日: 昭和27年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人間の量刑に不均衡が生じているとしても、犯人に対する処罰は個別的な予防的要請に基づき各犯人・各犯罪ごとに決せられるべきものであり、憲法14条1項や37条1項には違反しない。 第1 事案の概要:被告人が共同被告人とともに犯罪に及んだ事案において、被告人に対して下された刑罰が、同一事件の共同被…
事件番号: 昭和26(れ)1537 / 裁判年月日: 昭和26年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行の刑事訴訟法405条等に相当する規定)の制限により、適法な上告理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が量刑の不当を理由に最高裁判所へ上告を申し立てた。しかし、上告趣意書の内容は、判決の量刑が重すぎるという不服申し立てに帰着するものであった…