また原判決の言渡のあつた当時は未だ所論執行猶予の期間は経過していなかつたのであつて、従つて、その猶予期間内に更に本件犯罪を犯したことを量刑上参酌することは、決して所論のように不当であるとはいえない。
猶予期間内に更に罪を犯したことを量刑上参酌することができるか
刑法26条2項,憲法39条
判旨
窃盗の共謀をした者が、実行行為として見張りをしたに過ぎない場合であっても、窃盗罪の共同正犯としての責任を負う。
問題の所在(論点)
窃盗の共謀をした者が、現場で見張り役を担ったに過ぎない場合であっても、刑法60条の共同正犯(いわゆる共謀共同正犯)としての罪責を負うか。
規範
特定の犯罪を共同して実行する合意(共謀)が存在し、その共謀に基づき一部の者が実行行為に及んだ場合、直接実行行為を分担していない者であっても、共謀に基づき犯罪に寄与したといえる限度で、刑法60条の共同正犯として全責任を負う。
重要事実
被告人は、Aらと窃盗を行うことを共謀した。実際の窃盗の実行に際して、被告人は現場で見張り役を担うにとどまり、財物の窃取という直接の実行行為(構成要件的行為)の一部を自ら分担することはなかった。
あてはめ
被告人とAらの間には窃盗を行う旨の共謀が認められる。被告人が担当した「見張り」は、窃盗を完遂させるために不可欠な役割であり、共謀に基づき自己の犯罪として実行に寄与したといえる。したがって、たとえ構成要件的行為そのものを行っていない「見張り役」に過ぎないとしても、共謀の事実がある以上、共同正犯としての責任を免れないと評価される。
結論
被告人は、窃盗罪の共同正犯としての罪責を負う。
実務上の射程
共謀共同正犯の成立を認めた初期の重要判決である。答案上は、現場共謀や見張り役の処遇が問題となる場面で、一部の実行行為を担当していなくとも「共謀」および「共謀に基づく実行」があれば、60条により全体について責任を負う旨を論証する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)2060 / 裁判年月日: 昭和27年4月18日 / 結論: 棄却
被告人はAB等と協力して判示犯罪の実行方を通謀し、被告人自らは右実行々為に加担しなかつたが、賍品の売込先に残つて現物の搬入を持つたというのであり、他の共謀者の実行々為を介して自己の犯罪敢行の意志を実現したものと認めるに十分であるから、被告人において実行担当者、実行方法について関知するところがないとしても共同正犯の罪責を…