本件の差戻後の控訴審第一、二回公判に除斥事由ある裁判官が関与しても第三回公判期日において両裁判官を除き適法なる構成の裁判所が審理を更新し、新たなる審理を遂げた上、これに基いて判決をした場合には右の違法は該判決に何等影響を及ぼさなかつたものというべきである。
除斥事由ある裁判官が審理に関与しても後に適法に審理が更新された場合には右の違法は判決に影響するか
旧刑訴法354条,旧刑訴法448条ノ2第2項
判旨
差戻し前の控訴審に関与した裁判官が、差戻し後の控訴審の審理に関与することは違法であるが、その後に適法な構成の裁判所が審理を更新して判決を下した場合は、当該違法は判決に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
差戻し前の裁判に関与した裁判官が差戻し後の審理に関与した場合において、その後に適法な構成で審理が更新されたとき、当初の構成の違法は判決の破棄事由となるか。
規範
前審に関与した裁判官が差戻し後の審理に関与することは、裁判の公正を確保する趣旨から認められず、これを構成員とする公判手続は違法となる。もっとも、その後に適法な構成の裁判所が組織され、適法に公判手続の更新(新刑訴法315条参照)を経て新たな審理を遂げ、それに基づき判決がなされたのであれば、先行する構成の違法は判決に影響を及ぼさない。
重要事実
被告人の控訴審において、差戻し前の判決に関与した裁判官2名が、差戻し後の控訴審の第1回および第2回公判期日に裁判所の構成員として関与した。しかし、続く第3回公判期日において、当該裁判官らを除いた適法な構成の裁判所が組織され、改めて審理を更新した上で判決を言い渡した。
あてはめ
本件では、差戻し前の裁判に関与した裁判官らが第1回・第2回公判に関与しており、この点において公判手続は違法である。しかし、第3回公判期日において、当該裁判官らを排除した適法な裁判官らによって「審理を更新」し、改めて「新たなる審理を遂げた」事実が認められる。この更新後の審理に基づいて判決がなされている以上、第2回までの手続上の違法が判決内容そのものに不当な影響を与えたとはいえない。
結論
適法な構成で審理を更新した以上、当初の構成の違法は判決に影響を及ぼさず、憲法37条1項(公平な裁判所の裁判を受ける権利)違反にも当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判官の除斥事由(刑訴法20条7号)に触れる者が関与したまま判決に至れば絶対的控訴理由(377条1号)となるが、判決前に構成を是正し「更新」手続を経れば、瑕疵が治癒され判決への影響が否定されることを示す。実務上、審理途中で裁判官の交代や排除があった場合の更新手続の重要性を裏付ける。
事件番号: 昭和25(れ)456 / 裁判年月日: 昭和25年11月17日 / 結論: 棄却
一 原審の昭和二四年一一月五日附公判調書によれば、裁判長は、判決の宣告をする旨を告げ、判決主文を朗読し、同時に理由の要旨を告げたことが明らかであるから、原判決の主文は、言渡の際に文書に記載せられていたものということができる。もとより判決は、その宣告するところと判決書に記載するところと異るようなことがないように、判決宣告…