判旨
住居侵入罪と、その侵入した際に行われた暴行・脅迫を内容とする暴力行為等処罰に関する法律違反の罪は、互いに手段・結果の関係にないため、併合罪として処理される。
問題の所在(論点)
住居侵入の罪(刑法130条前段)と、その侵入した場所で行われた多衆の威力を示す暴行・脅迫の罪(暴力行為等処罰に関する法律1条)が、刑法54条1項後段の牽連犯の関係に立つか、あるいは同法45条前段の併合罪となるか。
規範
刑法54条1項後段の牽連犯とは、犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れる場合を指す。一方、二個の行為が互いに手段・結果の関係にあると解すべきでない場合には、各行為は別個に考察されるべきであり、刑法45条前段の併合罪として処断される。
重要事実
被告人Aは、共犯者らと共謀の上、被害者Gを難詰するためにGの居宅に不法に侵入した。さらに、侵入した際、共犯者と共同して、Gの妾であるHに対し多衆の威力を示して暴行・脅迫を加えた。
あてはめ
被告人Aによる不法侵入(第二の事実)と、侵入の際に行われたHに対する暴行・脅迫(第三の事実)は、前者が後者の手段である、あるいは後者が前者の結果であるという関係にはない。これら二個の行為はそれぞれ別個に考察されるべき独立した犯罪行為であると解される。したがって、両罪の間に牽連性は認められない。
結論
住居侵入罪と暴力行為等処罰に関する法律違反の罪は併合罪となり、これらを牽連犯と認めなかった原審の判断は正当である。
実務上の射程
住居侵入とその後の暴行罪等が牽連犯となるかについては、判例上、住居侵入が暴行等の「手段」といえるかという観点から判断される。本判例は、侵入行為と侵入先での暴行行為を切り離し、併合罪とする立場を明確にしたものである。答案作成上は、単に「侵入した先で暴行した」という事実関係のみでは牽連犯を認めず、各行為の独立性を考慮して併合罪として処理する際の論拠となる。
事件番号: 昭和43(あ)829 / 裁判年月日: 昭和43年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】住居侵入罪と器物毀棄罪は、手段と結果の関係にあるといえる場合には刑法54条1項後段の牽連犯となる。本判決は、両罪が併合罪であるとの主張を被告人に不利益な主張として排斥し、牽連犯の関係を肯定した原判決を維持した。 第1 事案の概要:被告人が住居に侵入し、その際に器物毀棄を行った。第一審または控訴審に…
事件番号: 昭和27(あ)4943 / 裁判年月日: 昭和28年2月20日 / 結論: 棄却
現行刑法において住居侵入罪と窃盗罪とはその被害法益及び犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行為は窃盗罪の要素に属せず、別個独立の行為であり、しかも通常、右両罪の間には手段結果の関係があることが認められるから、第一審判決が両罪を刑法五四条一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正当である。
事件番号: 昭和24(れ)2949 / 裁判年月日: 昭和25年5月4日 / 結論: 破棄自判
最高裁判所が破棄自判するに當り被告人は犯時及び原審判決當時には少年であつたが今や滿十八歳以上となつたものであるから、少年法を適用しないで處斷刑期並びに原判決の言渡した不定期刑(二年六月以上五年以下)の範圍内で被告人を懲役三年六月に處し、第一審における未決勾留日數中八〇日を刑法二一條に則り本刑に算入すべきものとする。
事件番号: 昭和55(あ)487 / 裁判年月日: 昭和57年3月16日 / 結論: 破棄自判
他人の住居の庭先に侵入してその住居内をひそかにのぞき見た場合における住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪とは、牽連犯の関係にある。
事件番号: 昭和54(あ)1428 / 裁判年月日: 昭和55年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書において犯行に至る経緯として記載された事実は、特段の事情がない限り余罪として認定されたものとは解されず、また共謀成立前の一過程における心的状態の指摘は、共謀の内容そのものとは区別される。 第1 事案の概要:被告人らが共謀の上で犯罪行為に及んだとされる事案において、第一審判決が犯行に至るまでの…