他人の住居の庭先に侵入してその住居内をひそかにのぞき見た場合における住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪とは、牽連犯の関係にある。
住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪との罪数関係 住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪との罪数関係(反対意見がある)
刑法45条,刑法54条1項,刑法130条,軽犯罪法1条23号
判旨
住居侵入罪と軽犯罪法1条23号(のぞき見)の罪は、罪質上通例手段・結果の関係にあり、犯人が現にその関係で実行した場合には牽連犯(刑法54条1項後段)となる。
問題の所在(論点)
住居等への侵入行為を伴って行われる「のぞき見」の行為について、住居侵入罪と軽犯罪法1条23号の罪の罪数関係が、併合罪か牽連犯(刑法54条1項後段)かが問題となる。
規範
数罪間に罪質上通例その一方が他方の手段または結果となる関係があり、かつ、具体的に犯人がそのような関係において数罪を実行した場合には、刑法54条1項後段の牽連犯として、科刑上の一罪として取り扱うべきである。
重要事実
被告人は、正当な理由がないのに、他人の住居内をひそかにのぞき見る目的で、当該住居の裏庭に侵入し(住居侵入)、これを手段として、現に住居内をひそかにのぞき見た(軽犯罪法1条23号違反)。原審は、これら2罪を併合罪(刑法45条前段)として処断した。
事件番号: 昭和27(あ)4943 / 裁判年月日: 昭和28年2月20日 / 結論: 棄却
現行刑法において住居侵入罪と窃盗罪とはその被害法益及び犯罪の構成要件を異にし、住居侵入の行為は窃盗罪の要素に属せず、別個独立の行為であり、しかも通常、右両罪の間には手段結果の関係があることが認められるから、第一審判決が両罪を刑法五四条一項後段のいわゆる牽連犯として取扱つたのは正当である。
あてはめ
軽犯罪法1条23号は、住居等の内部をのぞき見る行為を処罰するが、囲繞地等にある場所をのぞき見るためには、その手段として当該囲繞地等への侵入を伴うのが通常である。したがって、両罪は罪質上通例手段・結果の関係にあるといえる。本件においても、被告人はのぞき見の目的で裏庭に侵入し、現にその手段によってのぞき見を実行しており、具体的な手段・結果の関係が認められる。
結論
住居侵入罪と軽犯罪法1条23号の罪は牽連犯の関係にあり、刑法54条1項後段により、一罪として重い住居侵入罪の刑により処断すべきである。併合罪とした原判決は法適用を誤り、破棄を免れない。
実務上の射程
牽連犯の判断において「罪質上通例の手段・結果関係」を肯定した典型例である。答案上は、まず抽象的・典型的な関係の有無を検討し、次いで具体的ケースにおける手段・目的の主観的・客観的関連性を指摘する際の実務的指標となる。
事件番号: 昭和24(れ)2949 / 裁判年月日: 昭和25年5月4日 / 結論: 破棄自判
最高裁判所が破棄自判するに當り被告人は犯時及び原審判決當時には少年であつたが今や滿十八歳以上となつたものであるから、少年法を適用しないで處斷刑期並びに原判決の言渡した不定期刑(二年六月以上五年以下)の範圍内で被告人を懲役三年六月に處し、第一審における未決勾留日數中八〇日を刑法二一條に則り本刑に算入すべきものとする。
事件番号: 昭和43(あ)829 / 裁判年月日: 昭和43年10月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】住居侵入罪と器物毀棄罪は、手段と結果の関係にあるといえる場合には刑法54条1項後段の牽連犯となる。本判決は、両罪が併合罪であるとの主張を被告人に不利益な主張として排斥し、牽連犯の関係を肯定した原判決を維持した。 第1 事案の概要:被告人が住居に侵入し、その際に器物毀棄を行った。第一審または控訴審に…