判旨
有罪判決において罪となるべき事実を認めた理由を説明する際、証拠の標目及び法令を掲げることで足りるとする昭和25年最高裁判所規則第30号第8条の規定は適法であり、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
刑事裁判の有罪判決において、罪となるべき事実を認めた理由の説示として「証拠の標目」を掲げるのみで足りるとする規定(規則)の合憲性、および審理手続の適法性が問題となった。
規範
有罪の言渡しをするに当たり、証拠により罪となるべき事実を認めた理由を説明し、法令の適用を示すには、証拠の標目及び法令を掲げれば足りる(昭和25年最高裁判所規則第30号第8条、現行の刑事訴訟規則218条・219条参照)。
重要事実
被告人らは、原審の判決において、有罪の理由説明が証拠の標目及び法令の掲記のみで行われたことについて、証拠の具体的評価が欠けており違法かつ違憲であると主張して上告した。また、原審の公判審理において証人に対する審問権の行使が不当に奪われた等の審理不尽があるとも主張した。
あてはめ
最高裁は、原判決が当時の最高裁判所規則(昭和25年規則第30号)第8条に則り、証拠の標目及び法令を掲げていることを確認した。この規定に従った理由説明は適法であり、これに反する違憲の主張は前提を欠くと判断した。また、記録を精査した結果、原審は適式に公判審理を行っており、証人審問権を不当に奪った等の事実も認められないとした。
結論
本件各上告を棄却する。証拠の標目と法令を掲げる形式による理由説示は、憲法および訴訟法上適法である。
実務上の射程
判決書の「理由」の記載の程度に関する射程を有する。実務上、証拠の具体的評価(証拠の何がどのような理由で事実認定に資するかの説示)は必ずしも一律に求められるものではなく、証拠の標目を示すことで足りるという判断枠組みを支える判例である。
事件番号: 昭和26(れ)654 / 裁判年月日: 昭和26年10月23日 / 結論: 棄却
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