判旨
最高裁判所に対する上告理由をどのように定めるかは審級制度の問題であり、憲法81条が定める違憲審査権の帰属を除き、立法府が法律をもって適宜に定めることができる。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する上告理由を法律によって限定することは、最高裁判所を「終審裁判所」と定める憲法81条に違反するか。また、新旧法の適用に関する経過措置を法律で定めることは許されるか。
規範
憲法81条は、最高裁判所が一切の法律等の合憲性を決定する権限を有する終審裁判所であることを規定しているにすぎない。したがって、この点以外の審級制度の具体的設計や、新旧刑事訴訟法の適用範囲に関する経過措置の定めについては、立法府が諸般の事情を勘案して適宜決定できる広範な立法裁量を有する。
重要事実
刑事事件の被告人が、原審の量刑不当を理由に上告を申し立てた。当時の経過措置を定めた刑事訴訟法施行法3条の2により、いわゆる旧法事件の上告理由には刑事訴訟法405条が適用されることとなっていた。弁護人は、上告理由を限定する刑事訴訟法施行法3条の2等の規定が、憲法が予定する審級制度に反し違憲であると主張した。
あてはめ
憲法81条は最高裁判所の違憲審査権を保障するものではあるが、それ以外の上告理由の範囲までを憲法レベルで固定しているわけではない。本件において、旧法事件について刑訴法405条の規定(上告理由の制限)を適用すると定めた施行法3条の2は、立法府に委ねられた審級制度の設計及び経過法の立法の範囲内にある。したがって、量刑不当のみを理由とする上告を不適法として退けることは、憲法の規定に抵触しない。
結論
最高裁判所に対する上告理由の限定及び経過措置の定めは憲法に違反しない。量刑不当は適法な上告理由には当たらない。
実務上の射程
司法試験等の答案においては、裁判を受ける権利(憲法32条)や最高裁の性格(憲法81条)に関連し、審級構造の設計が立法裁量に属することを示す際の根拠として活用できる。特に上告理由の制限の合憲性を論ずる文脈で、憲法が最高裁に要請しているのは違憲審査権の行使であり、その他の事項は立法府に委ねられているという論理構成に資する。
事件番号: 昭和26(れ)895 / 裁判年月日: 昭和26年10月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して職権で判決を取り消すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書の内容について検討が行われたが、具体的な事実関係や…