判旨
数人の弁護人が選任されている場合において、適式な召喚を受けながら正当な理由なく公判期日に欠席した弁護人に対しては、当該期日において告知された次回公判期日の通知を改めて行う必要はない。
問題の所在(論点)
複数の弁護人が選任されている場合において、一部の弁護人が適式な召喚を受けながら正当な理由なく期日に欠席した際、当該期日に告知された次回期日の内容を、不出頭の弁護人に対しても個別に通知する必要があるか(訴訟手続の適法性)。
規範
適式な召喚を受けながら、正当な事由なく公判期日に出頭しなかった弁護人に対しては、当該期日に在廷した他の弁護人らに対して行われた次回公判期日の指定告知の効果が及ぶ。したがって、不出頭の弁護人に対し、改めて次回公判期日の召喚状の送達や通知を要するものではない。
重要事実
被告人のために松永・名尾の2名の弁護人が選任されていた事案において、原審第2回公判期日の召喚通知は両名に対し適式になされていた。しかし、同期日に出頭したのは松永弁護人のみであり、名尾弁護人は正当な事由なく欠席した。同期日の法廷において、次回第3回公判期日(判決言渡期日)が指定告知されたが、不出頭であった名尾弁護人に対しては、別途の期日通知は行われなかった。
あてはめ
本件では、名尾弁護人は第2回公判期日の召喚を適式に受けていたにもかかわらず、正当な事由なくこれに欠席している。同期日には共同弁護人である松永弁護人が出頭しており、その法廷で次回期日の指定告知がなされている。このような状況下では、不出頭の弁護人は自らの不出頭により期日告知を直接受ける機会を放棄したものといえ、裁判所が重ねて個別の通知を行う義務を負うと解する必要はない。したがって、名尾弁護人への通知を欠いたまま次回期日を開いた原審の手続に違法はない。
結論
不出頭の弁護人に対し、次回公判期日の特段の通知は不要である。本件上告は棄却される。
実務上の射程
弁護人が複数いる場合の期日通知の簡略化を認めた実務上の先例である。答案上は、刑訴法における弁護人の出頭権や期日召喚の趣旨に関連して、不出頭という義務違反がある場合の裁判所の通知義務の限界を示す際に活用できる。ただし、必要的弁護事件等における弁護権の形骸化を招かないよう、事実関係における「正当な事由の有無」の認定に留意すべきである。
事件番号: 昭和26(れ)457 / 裁判年月日: 昭和26年6月12日 / 結論: 棄却
被告人は適法な召喚を受けながら第三回公判期日に出頭しないで期日を懈怠したのであるから、同期日における公判手続については被告人自らこれを知るの責務があるのであり次回期日が何日に定められたかのごときは弁護人を通じても容易に知り得ることであるからである。されば、原審裁判所書記官が前記判決宣告期について被告人に対し重ねて召喚状…