判旨
詐欺の共謀に基づき実行に着手した後、目的物が当初の予定とは異なる別の物に変更されたとしても、最終的に財物を詐取する結果が生じた場合には、詐欺罪の既遂が成立する。
問題の所在(論点)
詐欺の共謀に基づき実行に着手した後、目的物が変更された場合であっても、変更後の財物に対する詐欺罪が成立するか(実行の着手と結果発生との間における目的物の不一致が構成要件的故意や既遂成立に影響するか)。
規範
詐欺罪における共謀が成立し、かつその実行の着手があった以上、その後に詐取の目的物が当初予定していた物とは別の物に変更されたとしても、同一の構成要件の範囲内において財物を詐取したといえる場合には、詐欺罪の成立を妨げない。
重要事実
被告人らは、共謀に基づき、特定の財物を詐取しようと欺罔行為を開始(実行の着手)した。しかし、手続の過程で目的物が当初予定していたものとは別の物へと変更されるに至った。最終的に被告人らは、その変更後の財物を詐取する結果を招いた。
あてはめ
本件では、被告人らの間に少なくとも詐欺の共謀が認められ、それに基づく実行の着手があった。その後、目的物が別の物へと変更されているが、詐欺という同一の動機・態様による一連の流れの中で財物を詐取するという結果が発生している。したがって、目的物の個性が変更されたことは、財物を詐取したという詐欺罪の構成要件的結果を左右するものではないと評価される。
結論
詐欺の既遂罪が成立する。
実務上の射程
実行の着手後に客体が変更された場合の処理を示す。事案の簡略さから、司法試験においては「共謀の射程」や「因果関係の錯誤(客体の錯誤)」が問題となる場面で、実質的な害悪が同一であれば既遂を認める趣旨で引用し得るが、本判決自体は極めて簡潔なため、論理の補強として用いるのが適切である。
事件番号: 昭和24(れ)776 / 裁判年月日: 昭和26年3月28日 / 結論: 棄却
刑訴応急措置法に基く逮捕状の執行による被疑者逮捕の場合には、同法第八条第四号の規定により同条第三号掲と記の旧刑訴第一二七条及び第一二九条所定の手続を準用し、逮捕状によつて逮捕された被疑者を受け取つた司法警察官又は検察官はその被疑者を尋問することができる。