判旨
旧刑事訴訟法下において、公判廷における被告人の自白のみに基づき犯罪事実を認定することは、憲法上の補強証拠の要件にかかわらず、手続上許容される。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法が適用される事件において、公判廷における被告人の自白のみによって犯罪事実を認定することが許されるか(自白の補強法則の適用範囲)。
規範
旧刑事訴訟法の規定の下では、当該裁判所の公判における被告人の自白が存在する場合、他の補強証拠を待たずに、その自白のみによって事実を認定することができる。
重要事実
被告人が公判において自白したが、原判決の認定した数量(バチ二百三十四貫二百匁等)に誤記があるとして、弁護人が法令違反等を理由に上告した事案。なお、本件は刑事訴訟法施行法3条の2により旧刑事訴訟法が適用される経過措置の対象であった。
あてはめ
本件では、公判廷において被告人の自白が得られている。旧刑事訴訟法においては、公判廷の自白があればそれだけで事実認定を行うことが可能であり、原判決が自白に基づいて事実を認定したことに法令違反は認められない。また、数量の誤記についても記録上明白な誤記にすぎず、判決の帰趨に影響しない。
結論
公判廷における被告人の自白のみによる事実認定を認め、本件各上告を棄却した。
実務上の射程
現行憲法38条3項及び現行刑訴法319条2項の下では、公判廷での自白であっても補強証拠が必要とされているため、本判例の判断枠組みをそのまま現行法の解釈に適用することはできない。旧法下での証拠法の過渡的な取扱いを示す歴史的資料としての意義に留まる。
事件番号: 昭和26(れ)1866 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項および刑事訴訟法319条2項にいう「自白」には、当該事件の公判廷における自白は含まれない。 第1 事案の概要:被告人が当該事件の公判廷において自白したが、補強証拠の存否やその十分性が争点となった事案(判決文からは具体的な犯罪事実の詳細は不明だが、公判廷自白の証拠能力・証明力が争われた…