判旨
被告人の上告趣旨が単なる量刑不当の主張に帰する場合、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
被告人が主張する「量刑不当」の申立てが、当時の刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行刑訴法405条等に対応)の下で、適法な上告理由になるか。
規範
上告審において、判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の廃止・変更、大赦、または再審の理由がある場合を除き、単に原判決の量刑が不当であることを申し立てることは、適法な上告理由として認められない。
重要事実
被告人が原判決に対して上告を提起したが、その上告趣旨の内容は、結局のところ原判決の量刑が重すぎるという量刑不当の主張に帰するものであった。その他の適法な上告理由(法令違反等)については特段の示認がない事案である。
あてはめ
本件において被告人が展開した主張を検討すると、その実質は刑の軽重を争う「量刑不当」の主張に尽きている。同法13条2項は、上告審の性格を法律審に限定する趣旨から、単なる事実誤認や量刑不当を上告理由から除外している。したがって、本件上告趣旨は同条項に抵触し、適法性を欠くといえる。
結論
本件上告を棄却する。量刑不当の主張は適法な上告理由にはならない。
実務上の射程
本判決は旧法下の判断であるが、現行刑訴法においても上告理由は405条各号(憲法違反、判例違反)に限定されており、単なる量刑不当は406条の申立てまたは411条2号(著しく刑の量定が不当)の職権破棄事由として検討されるにとどまる。答案上、上告理由の適格性を論じる際の基礎的準則として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1121 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が単独で犯罪を実行したとの認定に対し、共犯者の存在を示唆する主張がなされた場合であっても、それが単なる事実誤認の主張にとどまる限り、上告理由には当たらない。最高裁判所は、記録を精査した上で刑訴法411条を適用すべき著しい正義に反する事由がない限り、原判決を維持すべきである。 第1 事案の概要…
事件番号: 昭和25(れ)1912 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】被告人が運搬・積載に関与した既遂物品と、実際に押収された未遂物品とを混同して事実認定を行い、当該押収物品を既遂罪の証拠として没収することは、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認である。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、C丸を用いた密輸出に関与したとして起訴された。起訴状には密輸出の既遂事実と…
事件番号: 昭和25(あ)2222 / 裁判年月日: 昭和27年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、原判決の違憲主張について、過去の大法廷判例を引用して理由がないと判示し、その他の主張も適法な上告理由に当たらないとして上告を棄却した。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に憲法違反があるとして上告を申し立てた。具体的事案の詳細は判決文からは不明であるが、弁護人は上告趣意の第一点及び第四点…
事件番号: 昭和23(れ)1846 / 裁判年月日: 昭和24年5月21日 / 結論: 破棄差戻
被告人等は本件物件を取得した相手方乘組員が商船の單なる乘組員であると信じていたもので、その乘組員が所論政令第一條にいわゆる連合國占領軍に附屬若しくは随伴する者に該當することを認識しなかつたことは記録に照し明かであると主張し從つて被告人等はその點に於て違法性の認識がなかつたに拘らず右政令違反として有罪と判定したのは違法で…
事件番号: 昭和25(あ)1417 / 裁判年月日: 昭和25年9月19日 / 結論: 棄却
上告審に如何なる事項を以つて上告申立の理由とするか、又職權調査の範圍を如何に定めるかは立法上の問題であり、憲法第八一條の外には何等これを制限した規定は存しないのであるから、刑事訴訟法がその第四〇五條各號に規定する事由だけを上告申立の理由とすることを許し、同法第四一一條に規定する各事由を上告審の職權による破棄事由としなが…