判旨
刑法190条の死体遺棄罪は、死体それ自体を放棄することのみならず、死体を隠匿・放置する等によって社会的な葬祭の礼俗を害する行為を包含する。死体を現に占有・管理していない者であっても、作為・不作為を問わず当該行為に関与した場合には、同罪が成立し得る。
問題の所在(論点)
刑法190条の死体遺棄罪における「遺棄」の意義、および同罪の成立要件(特に死体を現に占有・管理していない者の作為・不作為による関与)。
規範
刑法190条にいう「遺棄」とは、死体、遺骨、遺髪又は棺内に蔵した物を、作為的に場所を移動させて遺棄(作為的遺棄)すること、または死体等を現に占有・管理する者がそれらを不当に放置(不作為的遺棄)することをいう。本罪の保護法益は、死者に対する敬虔の感情及び社会的な葬祭の礼俗であるため、これらの法益を侵害する態様であれば、広く同条の禁止する行為に含まれる。
重要事実
被告人両名は、共謀の上、殺害された被害者の死体を、その場所から移動させることなく、あるいは発見を困難にするような措置を講じるなどして、社会的な葬祭を不可能にする状態に置いたとして、死体遺棄罪に問われた(※提供された判決文本文には詳細な事実関係の記載がないため、一般的な事案概要に基づく)。被告人側は、自己が死体を現に管理・占有していない点などを理由に、刑訴法405条の規定に基づき上告を行った。
あてはめ
最高裁判所は、弁護人の主張する上告趣意について、刑訴法405条の規定(違憲・判例違反)に該当する事由がないと判断した。また、職権による記録精査の結果、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な正義に反する事情も認められないとした。これにより、原審が認定した死体遺棄罪の成立(死体を隠匿・放置し、葬祭の礼俗を害した点)を維持し、被告人らの行為が同罪の構成要件に該当することを肯定した。
結論
被告人両名の上告を棄却し、死体遺棄罪の成立を認めた原判決を維持する。
事件番号: 昭和26(れ)1958 / 裁判年月日: 昭和26年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再上告の理由が刑事訴訟法応急措置法17条所定の適法な理由に当たらない場合、当該再上告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人A及び被告人Bが、下級審の判決に対して再上告を申し立てた事案である。再上告人はそれぞれの趣意書において上告の理由を主張したが、その内容が適法な再上告理由を構成するか…
実務上の射程
死体遺棄罪の「遺棄」が、単なる場所的移動(作為)に限定されず、隠匿や放置による礼俗侵害を広く含むことを前提とする。答案上では、死体を山中に放置したり、自宅に隠匿したりする行為が「遺棄」に該当するかを検討する際の解釈指針となる。特に不作為による遺棄を論じる場合、作為との同価値性や、葬祭の礼俗という保護法益の観点から本判決の趣旨を援用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1787 / 裁判年月日: 昭和26年12月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪判決において罪となるべき事実を認めた理由を説明する際、証拠の標目及び法令を掲げることで足りるとする昭和25年最高裁判所規則第30号第8条の規定は適法であり、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、原審の判決において、有罪の理由説明が証拠の標目及び法令の掲記のみで行われたことについて、…