判旨
弁論の更新後に、更新前の公判期日における証拠調べの結果を直接援用することなく、更新前の公判調書の記載を引用して証拠調べを行う手続は適法である。
問題の所在(論点)
弁論の更新がなされた後において、更新前の公判期日の証拠調べ結果を援用せず、当該公判調書の記載を引用して証拠調べを行うことは刑事訴訟法上適法か。
規範
弁論の更新(刑事訴訟規則187条1項参照)がなされた場合、裁判所は更新前の公判手続における証拠調べの結果を直接裁判の基礎とすることはできない。もっとも、更新前の公判調書を独立した書面証拠として適法に証拠調べの手続に付した上で、その記載内容を引用することは、直接主義・口頭主義の趣旨に反せず許容される。
重要事実
被告人の公判において、昭和25年6月27日(第7回公判)の手続が行われた後、弁論の更新がなされた。その後、同年9月26日の公判(第10回公判)において証拠調べが行われた際、裁判所は第7回公判期日の証拠調べの結果を援用するのではなく、第7回公判調書の記載を引用する形で審理を進めた。弁護人は、これが更新前の手続の違法を承継するものであるとして上告した。
あてはめ
本件において、原審の判決の基礎となったのは弁論更新後の公判審理である。当該公判における証拠調べに際し、裁判所は更新前の公判期日における証拠調べの結果をそのまま援用した事実は認められない。裁判所が行ったのは、あくまで適法に作成された公判調書という書面の記載を引用することにとどまっている。これは、更新後の裁判官が自ら証拠の内容を認識するプロセスを経ており、弁論更新による手続の瑕疵(直接主義の要請)を回避しているといえる。
結論
弁論更新後の公判において、更新前の公判調書の記載を引用して証拠調べを行う手続に違法はない。
実務上の射程
裁判官の交代に伴う弁論更新時の証拠調べ手続に関する。更新前の「証拠調べの結果」をそのまま引き継ぐことは許されないが、公判調書を「書面」として引用・取調べすることは可能であることを示している。実務上、更新の際の手続短縮のために公判調書が活用される場面の限界を画する判例である。
事件番号: 昭和24(れ)2206 / 裁判年月日: 昭和24年12月26日 / 結論: 棄却
原審第二回公判調書には、證據調に際して被告人に對して意見辯解を述べる機會を與えた旨が記載されている。その際辯護人にもその機會を與えたということは、特に記載されてはいないけれども、辯護人は公判廷に立會つていたのであるから、意見辯解を述べることができた筈である。(特に辯論を制限したよな事實は認められない)それ故に原審の證據…