判旨
複数の犯罪事実が時間的・場所的に独立し、それぞれが独立した犯意に基づいている場合には、それらは包括一罪や観念的競合ではなく、別個独立の犯罪(併合罪)として成立する。
問題の所在(論点)
複数の犯罪事実が認定されている場合に、それらが刑法上の包括一罪等として扱われるべきか、あるいは別個独立の犯罪(併合罪)として成立するかが、罪数の決定において問題となる。
規範
犯罪の個数は、行為の態様、犯意の単一性・連続性、および時間的・場所的近接性を総合的に考慮して判断される。各事実が客観的に区別され、それぞれが独立した犯罪構成要件を充足する場合には、特段の事情がない限り別個独立の犯罪となる。
重要事実
被告人が複数の罪に問われた事案において、原判決は「第二及び第三の事実」について、それぞれを独立した犯罪として認定した。弁護人はこれらが別個独立の犯罪ではない旨を主張して上告したが、具体的な犯罪態様の詳細は本判決文からは不明である。
あてはめ
原判決の事実摘示によれば、第二および第三の事実は、客観的な事実関係として互いに区別されていることが明瞭である。それぞれの行為が独立して犯罪を構成し、混淆(こんこう)していない以上、これらを個別の犯罪と解することは法的に妥当である。
結論
原判決が示した第二及び第三の事実は各別個独立の犯罪であり、これらを併合罪として扱った原判決に違法はない。
実務上の射程
本判決は、罪数判断における「別個独立の犯罪」の判断基準が、原判決の事実摘示に基づく明確性に依拠することを示している。答案上は、数個の行為が時間的・場所的に離隔している事実を拾い、犯意の更新を論じることで併合罪を導く際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1504 / 裁判年月日: 昭和26年12月25日 / 結論: 棄却
右追公判請求書によれば検察官はA等において本件帆布を前記代金にて販売したときに横領行為が完成したものとして公訴を提起した趣旨と認められる。されば、横領罪を構成するものとして起訴された被告人A等の右販売行為が他面において物価統制令に違反するのであるから、刑法五四一条一項前段にいう一個の行為が他の罪名に触れる場合に当り、公…
事件番号: 昭和26(れ)1435 / 裁判年月日: 昭和26年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人や共犯者の供述は、それ自体が独立した証拠能力を有し、被告人の自白を補強する証拠となり得るため、これらがある場合には被告人の自白のみによる有罪判決には当たらない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cは、それぞれ犯罪事実について有罪判決を受けたが、弁護人は、判示事実が被告人の自白のほかに共犯…
事件番号: 昭和26(れ)1267 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が刑訴法405条の定める事由に該当せず、かつ記録を精査しても同法411条を適用して職権で判決を破棄すべき事由も認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人両名は、原審の判決に対して上告を申し立てた。上告趣意書が提出されたが、その内容は法定の上告理由に該当…
事件番号: 昭和25(あ)2975 / 裁判年月日: 昭和27年10月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】食糧管理法違反と物価統制令違反が一所為数法の関係にある場合、一方が犯罪の証明が不十分であっても、他方の事実で有罪を宣告する以上、主文で個別に無罪を言い渡す必要はない。 第1 事案の概要:農業を営む被告人が、法定の除外事由がないにもかかわらず、昭和23年10月下旬に青年会支部長を介して会員らから未検…