判旨
判決訂正の申立ては、判決の内容に法令違反等の事由がある場合に限られ、上告趣意書中の誤記や判決後の住居変更といった事項は訂正の対象とならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法415条の判決訂正の申立てにおいて、上告趣意書における氏名の誤記や、判決宣告後の住居変更といった事項が「判決の内容の誤り」として訂正の対象に含まれるか。
規範
刑事訴訟法415条に基づく判決の訂正は、同条1項所定の「その判決の内容に誤りがあることを発見したとき」に限り認められる。これに対し、弁護人の提出した上告趣意書における事実の誤記や、判決宣告後における被告人の状況変化(住居の変更等)は、判決自体の誤りとはいえず、訂正の対象には含まれない。
重要事実
傷害致死被告事件において、最高裁判所が宣告した判決に対し、被告人側から訂正の申立てがなされた。申立ての理由として、上告趣意書内に記載された被害者の氏名の誤記、および被告人の住居が変更された事実(住居変更願は判決宣告後に提出されたもの)が挙げられた。
あてはめ
上告趣意書中の被害者氏名について「C」を「D」とするのは明らかな誤記と認められるものの、これは弁護人が作成した書面上のミスであり、判決自体の内容に誤りがあることを意味するものではない。また、被告人の住居については、住居変更願が提出されたのが判決宣告後である以上、宣告時における判決の記載に誤謬があったとは評価できない。
結論
本件申立てには理由がないため、刑事訴訟法417条1項に基づき棄却する。
実務上の射程
判決訂正の対象を「判決自体の瑕疵」に限定する実務上の運用を裏付けるものである。答案作成上は、訂正制度の趣旨が裁判の自己修正にあることを踏まえ、単なる手続上の軽微な誤りや事後の事情変化が訂正事由に当たらないことを説明する際に参照し得る。
事件番号: 昭和33(み)23 / 裁判年月日: 昭和33年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、判決の内容に誤りがないと認める場合には、刑事訴訟法417条1項に基づき判決訂正の申立を棄却する。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が下した判決について、その内容に誤りがあるとして判決訂正の申立を行った。申立の具体的理由は判決文末尾に添付されている(詳細は判決文からは不明)。 第…
事件番号: 昭和26(れ)1027 / 裁判年月日: 昭和26年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決書の作成年月日が誤記であっても、その誤りが明らかであれば、直ちに判決の無効や破棄事由にはならない。 第1 事案の概要:原判決の作成年月日の記載が昭和26年3月5日であるべきところ、誤って別の年月日(具体的な誤記内容は判決文からは不明)が記載されていた事案。 第2 問題の所在(論点):判決書にお…
事件番号: 昭和25(す)83 / 裁判年月日: 昭和25年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が既にした決定に対する訂正の申立てについて、その必要が認められない場合には、裁判官一致の意見により申立てを棄却すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が昭和25年5月23日に言い渡した傷害被告事件の決定(昭和24年新(れ)第518号)に対し、決定の訂正を申し立てた。 第2 …