判旨
旧刑事訴訟法が適用される事件について、刑事訴訟法施行法3条の2に基づき上告に関する現行法の規定が準用される場合であっても、特別抗告に関する現行法433条の規定は適用されない。また、応急措置法18条に基づく最高裁判所への抗告は、憲法違反を理由とする場合に限られ、判例違反を理由とすることはできない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法事件の審判において、現行刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告が可能か。また、応急措置法18条に基づく抗告において判例違反を理由とすることができるか。
規範
旧刑事訴訟法事件において、刑事訴訟法施行法3条の2は上告に関する規定の適用を定めているが、抗告に関して現行刑事訴訟法433条を適用する旨を規定していないため、同条による最高裁判所への抗告は認められない。また、日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律(応急措置法)18条に基づく抗告は、憲法違反を理由とする場合に限定され、判例違反を理由とする抗告は不適法である。
重要事実
被告人は、旧刑事訴訟法が適用される公文書偽造行使詐欺被告事件について、有罪判決を受けた。被告人は最高裁判所に対し事件受理の申立てを行おうとしたが、判決謄本の交付が申立期間内に間に合わなかったため、上告受理申立回復請求を行った。原審が「責に帰すべき事由がないとは認められない」として請求を却下したため、被告人は原決定が判例に違反し、かつ現行刑訴法411条にも当たると主張して、現行刑訴法433条に基づき最高裁判所へ抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法施行法3条の2は、上告に関しては現行法の規定を準用するが、抗告に関する現行法433条の準用は含まれていない。本件は旧刑訴法事件である以上、同条による抗告は許されない。さらに、応急措置法18条に基づく抗告として検討しても、同条が認める抗告理由は憲法違反に限定されている。本件抗告理由は判例違反(刑訴法405条3号相当)であり、同条の要件を満たさない。
結論
本件抗告は、現行刑事訴訟法433条の適用がなく、かつ応急措置法18条所定の憲法違反も理由としていないため、不適法として棄却される。
事件番号: 昭和23(つ)35 / 裁判年月日: 昭和23年12月20日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように、特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外、抗告をすることは許されないものであることは、既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(つ)第七號事件同年一二月八日大法廷決定參照)
実務上の射程
刑事訴訟法の改正に伴う経過措置の解釈を示すものである。現行法下における433条の特別抗告の要件(憲法違反・判例違反)とは異なり、旧法事件や応急措置法下での救済範囲を厳格に限定した点に意義があるが、現代の通常事件においては直接参照される場面は少ない。
事件番号: 昭和26(し)62 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所のした決定に対しては、更に抗告をすることは許されず、これに反する抗告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:本件の抗告人は、既に最高裁判所が行った決定に対して、さらに不服を申し立てるべく本件抗告を提起した。 第2 問題の所在(論点):最高裁判所の決定に対して、刑事訴訟法上の抗告をす…
事件番号: 昭和25(し)56 / 裁判年月日: 昭和25年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する最高裁判所への抗告の可否について、裁判所法及び刑訴応急措置法に基づき、特別の規定がない限り許されないと判断した。 第1 事案の概要:抗告人Aは、原審がした再審請求棄却決定を違法であるとして、最高裁判所に対し抗告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):再審請求棄却決定に対し…
事件番号: 昭和30(し)45 / 裁判年月日: 昭和30年10月29日 / 結論: 棄却
本件証拠請求却下の決定のように訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らない(昭和二九年(し)第三七号、同年一〇月八日第三小法廷決定、集第八巻一〇号一五八八頁)。
事件番号: 昭和43(し)35 / 裁判年月日: 昭和43年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が管轄権を有する抗告は、上告のほか、訴訟法において特に定めるもの(旧法事件においては刑訴応急措置法18条による抗告)に限られる。これに当たらない抗告理由は不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が下した即時抗告棄却決定に対し、旧刑事訴訟法469条2号を根拠…