判旨
有罪判決の証拠となった証言が虚偽であることは、その虚偽が確定判決により証明された場合に限り再審理由(刑訴法435条2号)となる。また、前審における審理不尽の主張は、適法な再審請求の理由には当たらない。
問題の所在(論点)
有罪判決の証拠となった証言が虚偽であるとの主張、および前審における審理不尽の主張が、刑事訴訟法上の再審理由に該当するか。
規範
刑訴法435条2号に基づき、証言の虚偽を理由として再審を請求するためには、単に証言が不合理であるというだけでは足りず、その証言が虚偽であることが確定判決により証明されていることを要する。また、審理不尽等の訴訟手続上の瑕疵は、同条各号に掲げられた再審理由には該当しない。
重要事実
強盗傷人の罪で有罪判決を受け、上告棄却により刑が確定した被告人が再審を請求した。被告人は、有罪の証拠とされた被害者2名の証言が不合理かつ虚偽であること、および前各審において被告人に有利な事実に関する審理が尽くされていないことを理由として、事実誤認を主張した。
あてはめ
本件において、被告人は被害者証言が虚偽であると主張するが、刑訴法435条2号は、証言の虚偽が「確定判決により証明された場合」に限定して再審を認めている。本件では、当該証言が虚偽であると確定判決で証明された事実は認められない。また、審理不尽の主張については、同条各号のいずれの再審理由にも該当せず、確定判決に対する不服申立ての理由とはなり得ない。
結論
本件再審請求には理由がないため、刑訴法447条1項に基づき棄却すべきである。
実務上の射程
再審理由の厳格性を確認する裁判例である。特に刑訴法435条2号(証言等の虚偽)や7号(新証拠)を用いる際、単なる証拠の信用性不服や手続違背の主張では足りないことを示す論拠として、答案上では再審の「限定性」を説明する文脈で使用できる。
事件番号: 昭和29(き)11 / 裁判年月日: 昭和29年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告を棄却した確定判決に対する再審請求は、当該確定判決自体に刑事訴訟法436条1項所定の事由があるときにのみ許される。 第1 事案の概要:本件は、上告を棄却した最高裁判所の確定判決に対し、再審請求がなされた事案である。請求人は別紙(判決文上省略)に記載された事由をもって再審を求めたが、その事由が法…
事件番号: 昭和28(き)7 / 裁判年月日: 昭和28年8月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告が不適法または明らかに上告理由に当たらないとしてなされた上告棄却の決定に対し、刑事訴訟法436条に基づく再審請求は許されない。再審は確定した「判決」に対する実体的な不服申し立て制度であり、証拠に基づかない手続的決定は再審の対象に含まれないと解される。 第1 事案の概要:再審請求人(被告人)は、…
事件番号: 昭和31(き)14 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却決定に対する再審請求において、刑訴法435条および436条所定の再審事由を具体的に主張せず、単に下級審の審理不尽等の違法を述べるに留まる場合は、請求を不適法として棄却すべきである。 第1 事案の概要:請求人は、最高裁判所がなした上告棄却決定に対し再審を請求した。その理由は、一審および二審の…
事件番号: 昭和25(き)2 / 裁判年月日: 昭和28年12月3日 / 結論: 棄却
しかし本件被告事件の記録に徴すれば、請求人申出の証人の中A並びに当時捜査を担当していた府中町警察署勤務警部補Bは、控訴審たる東京高等裁判所において証人として尋問されているのであり、不在証明を立証しようとするCについては、同人と被告人Dとの交渉関係につき司法警察官作成の聴取書が存し公判廷においてその証明調がなされているも…
事件番号: 昭和28(き)18 / 裁判年月日: 昭和29年5月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告棄却の確定判決に対する再審の請求は、当該確定判決自体に刑事訴訟法436条1項所定の事由があるときにのみ許される。 第1 事案の概要:本件は、上告を棄却した最高裁判所の確定判決に対し、再審の請求がなされた事案である。請求人は再審の請求趣意書を提出したが、最高裁判所はその内容が刑訴法436条1項所…