所論証人A、Bは、本件住居侵入罪について各被告人と共犯の関係にあるけれども、共同被告人として共同審理を受けた者ではない。このような共同審理を受けていない単なる共犯者が、犯罪事実を自認する供述の証拠能力が、憲法第三八条第三項によつて何等制限を受けるものでないことは大法廷判例の示すとおりである(判例集三巻六号七三四頁)。
共同審理を受けていない単なる共犯者の供述の証拠能力
刑訴法318条,憲法38条3項
判旨
共同審理を受けていない共犯者の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には当たらない。したがって、補強証拠がなくても当該共犯者の供述のみで被告人を処罰することが可能である。
問題の所在(論点)
共同審理を受けていない共犯者の自白が、憲法38条3項の「本人の自白」に含まれ、補強証拠を必要とするか。
規範
憲法38条3項が補強証拠を必要とする「本人の自白」とは、当該被告人自身の供述を指す。共同審理を受けていない別個の裁判手続における共犯者の供述については、たとえ共犯関係にあっても同項による証拠能力の制限は受けない。
重要事実
被告人は住居侵入罪に問われていた。その裁判において、本件の共犯関係にある証人AおよびBが証言したが、このAおよびBは被告人と共同被告人として共同審理を受けている者ではなかった。第一審および控訴審は、これら共犯者の自白を証拠として有罪判決を下したため、弁護人は補強証拠の欠如等を理由に上告した。
あてはめ
本件証人AおよびBは、被告人と共犯関係にはあるものの、共同被告人として同一の手続で審理を受けているわけではない。このような「単なる共犯者」が犯罪事実を自認する供述を行ったとしても、それは被告人自身の自白ではない。したがって、憲法38条3項の適用はなく、補強証拠を待たずに証拠能力が認められる。
結論
共同審理を受けていない共犯者の供述は「本人の自白」に当たらないため、補強証拠なしに有罪の証拠とすることができる。
実務上の射程
共犯者の供述の証拠能力と補強法則の要否に関する基本的判例である。答案上は、共犯者の供述が憲法38条3項・刑訴法319条2項の「自白」に該当するかという文脈で、被告人と手続を異にしているか否かを基準として引用する。
事件番号: 昭和32(あ)3266 / 裁判年月日: 昭和33年7月10日 / 結論: 棄却
一 偽証教唆被告事件において、被教唆者の自白は憲法第三八条第三項の「本人の自白」に含まれない。 二 元来ヒステリー性格者である者が、公判廷における証言直後偽証の疑ありとして逮捕勾留され、十日目に釈放されたが心因性反応による一時的精神障害を呈し、二日後には精神病院に入院し約三週間後にほぼ治癒して退院した場合、右の者の勾留…