一 偽証教唆被告事件において、被教唆者の自白は憲法第三八条第三項の「本人の自白」に含まれない。 二 元来ヒステリー性格者である者が、公判廷における証言直後偽証の疑ありとして逮捕勾留され、十日目に釈放されたが心因性反応による一時的精神障害を呈し、二日後には精神病院に入院し約三週間後にほぼ治癒して退院した場合、右の者の勾留中における検察官に対する供述等は必ずしも証拠力がないものではない。
一 偽証教唆被告事件において被教唆者の自白は憲法第三八条第三項の「本人の自白」に含まれるか。 二 釈放直後精神障害を呈した者の勾留中における供述の証拠力。
憲法38条3項,刑訴法321条2号,刑訴法318条
判旨
共犯者の自白は、憲法38条3項にいう「本人の自白」には含まれず、補強証拠がなくとも当該共犯者以外の被告人を処罰する証拠とすることができる。
問題の所在(論点)
共犯者の自白が、憲法38条3項にいう「本人の自白」に含まれるか。また、共犯者の自白のみで被告人を処罰することが許されるか。
規範
憲法38条3項が「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定する「本人の自白」には、共犯者の自白は含まれない。
重要事実
被告人の有罪判決において、共犯者Aの自白が証拠として用いられた。弁護人は、当該自白が憲法38条3項の「本人の自白」に含まれることを前提に、補強証拠の欠如や任意性の疑いを理由として違憲・違法を主張し、上告した。
あてはめ
最高裁の判例(昭和33年5月28日大法廷判決等)の趣旨に照らせば、共犯者Aの自白は被告人自身の自白とは評価されない。また、本件におけるAの自白について記録上、任意性を欠くものと疑うべき証跡は認められず、証拠能力に問題はない。したがって、共犯者の自白を被告人の有罪認定の証拠として用いることは憲法に違反しない。
結論
共犯者の自白は憲法38条3項の「本人の自白」に含まれないため、これのみを証拠として被告人を処罰することも憲法上許容される。
実務上の射程
刑事訴訟法319条2項の「本人の自白」の解釈においても同様に解され、共犯者の自白については補強証拠を不要とする実務の根拠となる。答案上は、共犯者の供述の証拠能力や証明力を論ずる際、補強法則の適用の有無を峻別する基準として用いる。
事件番号: 昭和36(あ)2955 / 裁判年月日: 昭和40年2月9日 / 結論: 棄却
(裁判官田中二郎の反対意見)憲法第三八条第三項にいう自白の中には共犯者の自白をも含むものと解するを相当とする。
事件番号: 昭和48(あ)386 / 裁判年月日: 昭和48年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白を補強するに足りる証拠が存する場合には、憲法38条3項の自白の補強証拠を欠くことによる有罪判決の禁止に抵触しない。 第1 事案の概要:被告人が自白をした事案において、第一審判決および原判決は、その自白を補強するに足りる証拠を掲げた上で、被告人の有罪を認定した。これに対し、弁護人が憲法3…