判旨
裁判の迅速が欠いたとしても、それが直ちに判決に影響を及ぼすものではないため、刑事訴訟法上の控訴理由(379条)や上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
裁判が迅速を欠いたこと(憲法37条1項違反)が、刑事訴訟法上の判決に影響を及ぼすべき訴訟手続の法令違反として、原判決の破棄理由となるか。
規範
憲法37条1項に定める裁判の迅速が害されたとしても、それが当然に判決の内容自体に影響を及ぼすものではない。したがって、訴訟手続の法令違反を理由とする破棄事由(刑訴法379条参照)には該当しない。
重要事実
弁護人は、本件訴訟において裁判が迅速を欠いたことを理由に、量刑不当(刑訴法405条)や原判決の破棄を求めて上告した。しかし、具体的な遅延の態様やそれによる被告人の防御権への具体的な支障については、本判決文からは不明である。
あてはめ
仮に本件訴訟において裁判の迅速が欠けていた事実があったとしても、そのことが直ちに原判決の判断内容を左右し、判決に影響を及ぼしたとは認められない。したがって、適法な上告理由である刑訴法405条所定の事由、あるいは職権破棄事由である411条のいずれにも当たらない。
結論
裁判の迅速が欠けていたとしても、判決に影響を及ぼさないことが明らかである以上、原判決破棄の理由とはならず、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判の迅速(憲法37条1項)違反を理由に免訴を認めた高田事件判決(最大法判昭47.12.20)以前の判断であり、現在は極端な遅延がある場合には免訴の可能性がある。答案上は、通常の遅延であれば本判決を前提に『判決に影響を及ぼさない』と処理し、異常な遅延がある場合にのみ例外的に免訴の検討を行う際の対比として用いる。
事件番号: 昭和27(あ)5560 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の迅速が欠かれ憲法37条1項に違反する場合であっても、それが判決の内容自体に影響を及ぼさない限り、原判決を破棄する理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の裁判が迅速を欠いており、憲法37条1項の「迅速な公開裁判を受ける権利」を侵害していると主張して上告を申し立てた。 第2 問題の…
事件番号: 昭和26(あ)3006 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の迅速が欠けた場合であっても、それが直ちに判決に影響を及ぼすものとはいえず、原判決の破棄理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が銃砲等所持禁止令違反の罪で起訴され、有罪判決を受けた事案において、弁護人が上告理由として「本件の審理が迅速を欠いたものである」旨を主張し、憲法37条1項違反を理…