判旨
酒税法における酒類製造の禁止規定は、自家用目的であっても、また少量の製造であっても適用され、これを処罰することは憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
免許を受けずに自家用目的で少量の酒類を製造する行為が、酒税法違反として処罰の対象となるか。また、かかる処罰が憲法に抵触するか。
規範
酒税法に基づく酒類製造の免許制度および製造禁止規定は、財政目的(税収の確保)を主眼とする合理的な規制であり、自家用目的や少量製造であることを理由に直ちに不可罰となるものではない。
重要事実
被告人は、免許を受けることなく、二斗七升(約48.7リットル)の焼酎を密造した。これに対し被告人側は、当該製造が少量であり、かつ自家消費を目的とするものであるから、これを処罰することは不当であり憲法に違反する旨を主張した。
あてはめ
本件において被告人が製造した二斗七升という分量は、客観的にみて「少量」とはいえず、また自家用目的という主観的な意図があったとしても、免許制度を根幹とする酒税法の規制を免れる理由にはならない。原審で主張・判断されていない憲法違反の主張は上告理由に当たらないが、実質的にも被告人の所為を罪とならないとする根拠は認められない。
結論
被告人の行為は酒税法違反を構成し、自家用・少量製造の主張は上告理由とならない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
酒税法の合憲性および自家醸造禁止の妥当性に関する初期の判例である。司法試験においては、租税立法における広範な立法裁量の論証や、生存権・幸福追求権との抵触が問題となる場面で、規制の目的(税収確保)の正当性を支える判決として引用し得る。
事件番号: 昭和26(あ)1114 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】差押調書に記載された焼酎の容器(瓶、樽、罐)および内容量の具体的な状況から、酒類製造の事実を認定できるとした原判決に違法はない。 第1 事案の概要:被告人が酒類(焼酎)を製造したとして起訴された事案において、第一審判決は差押調書等の証拠を挙げた。当該調書には、四号焼酎瓶1本(満杯)、二斗樽2個(満…