判旨
不当に長い抑留後の自白として証拠能力を否定するためには、抑留期間と供述時期の関係を検討する必要があり、抑留開始から20日以内になされた自白は不当に長い抑留後のものとはいえない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上、不当に長い抑留後の自白として証拠能力が否定されるべき限度はどこにあるか。抑留開始後20日以内になされた自白の証拠能力が問題となった。
規範
日本国憲法第38条第2項および刑事訴訟法第319条第1項に基づき、不当に長い拘禁(抑留)後の自白は証拠とすることができない。この「不当に長い抑留」に該当するか否かは、抑留が開始された時期から自白がなされた時点までの期間を具体的に検討して判断すべきである。
重要事実
被告人が昭和25年3月29日から抑留されたと仮定した場合において、被告人が司法警察員および検察官に対して行った自白(供述)は、その抑留開始から20日以内に行われたものであった。
あてはめ
仮に弁護人が主張するように昭和25年3月29日から抑留が開始されたとしても、被告人の自白はその後20日以内になされていることが明白である。この程度の期間内になされた供述は、法にいう「不当に長い抑留」によるものとは評価できず、他に任意性に疑いを生じさせる特段の事情も認められない。
結論
本件自白は不当に長い抑留後のものとはいえず、任意性に疑いがないため、証拠能力を有する。
実務上の射程
自白の任意性(憲法38条2項、刑訴法319条1項)が問題となる事案において、抑留・拘禁の期間の長短を検討する際の目安となる。20日程度の拘束期間であれば、直ちに不当に長い抑留とは評価されない傾向にあることを示すが、現代の勾留期間制限(原則10日、延長10日)を前提とすれば、期間のみならずその間の取調べ態様等と併せて総合的に判断すべきである。
事件番号: 昭和40(あ)2910 / 裁判年月日: 昭和42年2月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不当に長い抑留・拘禁後の自白は、憲法38条2項により証拠能力が否定されるが、その該非は個別具体的事案に照らして判断される。本件では抑留・拘禁期間が不当に長いとは認められず、自白の任意性を疑うべき証跡もないため、証拠能力は否定されない。 第1 事案の概要:被告人が自白を行うに至った過程において、一定…