旅行者用外食券もまた財物である。
旅行者用外食券と刑法第二四六条第一項の財物
刑法246条1項
判旨
外食券(当時の配給制度下における証書)は、刑法上の「財物」に該当し、窃盗罪等の客体となり得る。
問題の所在(論点)
刑法上の窃盗罪等における客体である「財物」の定義、および外食券がこれに該当するか(刑法235条、242条等における財物の解釈)。
規範
刑法における「財物」とは、有体物であることを要するが、それ自体に経済的価値があるものだけでなく、その所持によって特定の法的利益やサービスの享受を可能にする証書等も含まれる。
重要事実
被告人が、当時の外食券制度下において発行されていた「外食券」を奪取した事案。弁護人は、外食券は単なる記号に過ぎず、財産的価値を有する「財物」には当たらないと主張して上告した。
あてはめ
外食券は、それ自体が紙片という有体物である。また、当時の食糧統制下において、これを提示することで外食の提供を受けることができるという具体的な法的・経済的利益が化体された証書である。したがって、単なる記号ではなく、他人の占有を侵害して奪取するに値する経済的価値を有するものとして、刑法上の財物に当たると解される。
結論
外食券は財物である。したがって、これを取り扱う行為について窃盗罪等の成立を認めた原判決に法令違反はない。
実務上の射程
財物の概念について、物理的な管理可能性(有体物性)に加え、経済的価値(主観的価値を含む)の有無を検討する際の基礎的な判断を示している。証券やチケット類が「財物」に該当するかを論じる際の出発点となる判例である。
事件番号: 昭和25(れ)430 / 裁判年月日: 昭和25年6月1日 / 結論: 棄却
詐欺罪の目的物たる財物とは、財産權ことに所有權の目的となることを得べき物をいい、必ずしも金錢的價値を有すると否とを問わないものである。そして、原判決の認定した詐欺の目的物は、兵庫縣經濟部商工課長名義のA戰災者同盟本部宛硝子特配申請の件については四箱の配給を約束する旨の書面であるから、かゝる配給を受くべき財産上の利益を期…
事件番号: 昭和24(れ)1603 / 裁判年月日: 昭和24年11月17日 / 結論: 棄却
所論「家庭用主食購入通帳」は、一個人の所有權の容体となるべき有体物であるから、刑條にいわゆる財物にあたるものといわなければならない。從つて該通帳が本件被告人の配給物資を騙取せんがための手段であり、道具であるに過ぎなかつたとしても、詐欺罪の成立を妨げる理由はない。されば原審が被告人の所爲に對し食糧緊急措置令第一〇又は刑法…