判旨
警察における自白が強制による虚偽のものであると主張される場合であっても、当該自白が証拠として採用されていないのであれば、判決の正当性に影響を及ぼさず、上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
証拠として採用されていない段階の自白の任意性・真実性の欠如が、上告審における破棄事由となるか。
規範
自白の任意性・真実性に疑義がある場合でも、その自白が事実認定の証拠として供されていない限り、刑訴法411条等の職権破棄事由には該当しない。
重要事実
被告人が警察における自白は強制による虚偽の申立てであると主張して上告した事案。しかし、当該自白は本件の裁判において証拠として採用されていなかった。
あてはめ
被告人は警察での自白が強制されたものであると主張するが、記録を精査しても、当該自白は証拠とされていない。したがって、自白の成立過程に問題があったとしても、それが判決の結果に影響を及ぼすことはなく、職権をもって判決を破棄すべき理由とは認められない。
結論
本件上告は棄却される。証拠とされていない自白の不当性は、有効な上告理由とはならない。
実務上の射程
自白排除法則や任意性に関する主張を行う際は、当該自白が実際に事実認定の基礎(証拠)とされているかを確認する必要がある。証拠として採用されていない段階での不当な取調べ等は、別途、違法収集証拠排除法則の文脈で検討すべき余地はあるが、判決の直接の根拠となっていない場合は本判例の通り上告理由として構成するのは困難である。
事件番号: 昭和26(あ)5086 / 裁判年月日: 昭和27年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白の任意性について、記録上、任意にされたものでないことを疑わしめるに足りる形跡が認められない場合には、証拠能力が肯定される。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、事実認定の証拠に採用された被告人の供述(自白)について、任意性に疑いがある旨を主張して上告した。しかし、記録を精査しても、…