判旨
書面の記載内容(意義)が証拠となるものは、刑事訴訟法306条に規定される「証拠物中書面の意義が証拠となるもの」には該当せず、証拠書類として取り扱うべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法306条にいう「証拠物中書面の意義が証拠となるもの」の意義、および記載内容が証拠となる書面を証拠物として取り扱うべきか否か。
規範
証拠物としての性質を併せ持つ書面については、その存在や状態が証拠となる場合に限り刑事訴訟法306条の適用がある。これに対し、書面に記載された内容(意義)そのものが証拠となる場合は、証拠書類に該当し、同条の「証拠物中書面の意義が証拠となるもの」には含まれない。
重要事実
本件において提出された書面(具体的な書面の種類は判決文からは不明)について、その記載内容の意義が証拠として活用されるべき状況であった。弁護人はこれを証拠物として扱うべきであり、原判決の判断が判例に違反すると主張して上告した。
あてはめ
本件の書面は、その存在や形状といった状態が証拠となるものではなく、記載された意義が証拠となるものである。したがって、これは性質上、証拠書類として取り扱われるべきものであり、証拠物としての性質を前提とする刑事訴訟法306条の規定を適用する余地はないと解される。
結論
本件書面は証拠書類に該当し、刑事訴訟法306条の証拠物には当たらない。したがって、同条違反を理由とする上告は理由がない。
実務上の射程
書面の証拠調べ方式(証拠書類か証拠物か)を決定する際の基準を示す。記載内容の真実性が問題となる場合は証拠書類として、書面の物理的存在自体が意味を持つ場合(偽造文書の筆跡や形状等)は証拠物として構成すべきとする実務上の指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)371 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】警察における自白が強制による虚偽のものであると主張される場合であっても、当該自白が証拠として採用されていないのであれば、判決の正当性に影響を及ぼさず、上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が警察における自白は強制による虚偽の申立てであると主張して上告した事案。しかし、当該自白は本件の裁…