判旨
被告人の供述調書の証拠能力に関し、取調べの状況や被告人の健康状態に照らし、供述の任意性が認められる場合には、当該供述調書を採証することができる。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の供述調書の証拠能力に関し、取調べの状況や被告人の健康状態を考慮して、供述の任意性が認められるか。
規範
供述調書の証拠能力が認められるためには、刑事訴訟法に基づき、その供述が任意になされたものであること(任意性)が必要である。任意性の有無は、取調べの態様が苛酷なものでなかったか、被告人の身体・精神状態が正常であったか等の諸事情を総合して判断される。
重要事実
被告人は検察事務官に対して第2回供述調書を作成したが、後の公判においてその任意性を争った。第一審裁判所は、取調べを担当した司法警察員を証人として尋問し、警察署における取調べが苛酷なものではなかったこと、および被告人が勾留中に健康を害した事実がなかったことを認定した。原審もこの第一審の判断を妥当として是認した。
あてはめ
本件では、第一審において司法警察員への証人尋問が行われ、取調べが苛酷なものではなかった事実が確認されている。また、被告人が勾留中に健康を害した形跡もないことから、心身の不当な圧迫によって供述が誘発されたとは認められない。したがって、経験則に照らしても検察事務官に対する被告人の供述は任意になされたものと評価できる。
結論
被告人の供述調書には任意性が認められるため、証拠能力を有し、これを採証した原判決に憲法違反や経験則違反の違法はない。上告棄却。
実務上の射程
自白の任意性に関する基本的な判断枠組みを示すものである。答案上では、319条1項や322条1項の要件である「任意性」の判断において、取調べの状況(苛酷性の有無)や被告人の属性・状態(健康状態等)といった具体的要素を摘示し、それらから供述の自由が確保されていたかを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和25(あ)3240 / 裁判年月日: 昭和26年5月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の供述は、相互に他の共同被告人の供述内容を裏付ける補強証拠となり得る。憲法38条3項及び刑訴法319条2項の補強証拠の要件を満たすにあたり、共犯者の自白を排除する理由はない。 第1 事案の概要:被告人が、共同被告人の供述を相互に補強証拠とすることはできないと主張し、第一審の採証手続に違法…