判旨
強盗の共謀がある場合、共犯者が単独で金品を強取しても、他の共犯者はその責を免れない。また、占有補助者から金員を受け取った場合であっても、被害者の占有を認めて強盗殺人罪が成立する。
問題の所在(論点)
1. 強盗の共謀がある場合、共犯者が単独で行った強取行為について他の共犯者も責任を負うか。 2. 被害者の傍らにいる第三者(占有補助者)から財物を受け取った場合、強盗罪における「他人の占有」を認められるか。
規範
1. 共謀共同正犯の成立範囲について、特定の犯罪(強盗等)を行う共謀がある以上、その実行行為の過程で共犯者の一人が単独で行った財物強取についても、共謀の範囲内として他の共犯者はその刑事責任を負う。 2. 占有の帰属について、被害者の介在の下で第三者が物を保持しているに過ぎない場合、その第三者は単なる占有補助者であり、物の占有は依然として被害者に帰属する。
重要事実
被告人AおよびBは、被害者CおよびDを殺害して代金を強取しようと共謀した。AとBは両名を殺害したが、金時計の強取についてはAが単独で行った。また、BがCの所持していた金包を受け取った際、それはCのそばにいたEの手から渡されたものであった。弁護側は、金時計についてはBに共謀がなく、金包については詐欺罪等に留まると主張して上告した。
あてはめ
1. 被告人BはAと被害者両名を殺害して金品を強取する共謀をしており、たとえ金時計の強取がA単独の行動であったとしても、強盗の共謀がある以上、Bはその責任を免れない。 2. Bが金包を受け取った際、仲介したEは単なる占有補助者に過ぎず、金包の占有は依然としてCに属していたと認められる。したがって、暴行・脅迫を用いてこれを取り上げた行為は、強盗殺人罪の構成要件を充足する。
結論
被告人両名につき強盗殺人罪の成立を認めた原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
共謀の射程および占有概念(占有補助者)に関する基本判例である。答案上は、一部の共犯者が予定外の行動をとった場合でも「強盗」という包括的共謀の範囲内であれば共同正犯が成立することを示す際や、形式的な所持者ではなく実質的な占有者を特定する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1876 / 裁判年月日: 昭和24年11月12日 / 結論: 棄却
被告人が他の共犯者と共謀の上所論強盜をした事實が確定してある以上被告人自身が直接に暴行脅迫しなくともその罪責を免れないのであるから共犯者の何人が實行行爲の際その如何なる部分を分擔したかはこれを特に明示しなくとも罪となるべき事實の判示として欠くるところはないのである。
事件番号: 昭和24(れ)2681 / 裁判年月日: 昭和26年3月27日 / 結論: 棄却
強盗共犯の一人が強盗に着手した後家人に騒がれて逃走し追跡されているうち、巡査に発見され追い付かれて逮捕されようとした際逮捕を免れるため同巡査に切りつけ死に至らしめたときは、その強盗殺人の行為につき他の共犯も責任を負うべきである。