判旨
執行猶予期間中に更に罪を犯した場合には、再度の執行猶予の要件(刑法25条2項)を満たさない限り、刑法25条1項に基づく執行猶予を付すことはできない。
問題の所在(論点)
執行猶予の期間中にさらに罪を犯した場合において、刑法25条1項(初度の執行猶予)の要件を充足するか。すなわち、既決の執行猶予判決の効力が維持されている状態での再犯に対し、同条1項による執行猶予が可能かどうかが問題となる。
規範
刑法25条1項(現在の1号)の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」等の要件は、過去に受けた執行猶予付き判決の猶予期間中である場合、その要件を満たさないものと解される。
重要事実
被告人は、昭和23年5月17日に恐喝・横領罪により懲役1年、2年間の執行猶予の判決を受けた。しかし、被告人はその猶予期間中であるにもかかわらず、更に本件において4回にわたる恐喝行為を行った。
あてはめ
被告人は既に懲役1年、執行猶予2年の判決を受けており、本件犯行時においてもその猶予期間内であった。刑法25条1項(当時の1号)は、過去に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと等を要件としているところ、執行猶予中であっても「刑に処せられた」事実に変わりはない。したがって、猶予期間中に重ねて犯行に及んだ本件の場合、同条1項の要件を充足しないと判断される。
結論
被告人は刑法25条所定の要件を満たさないため、本件において執行猶予を付すことはできない。
実務上の射程
本判決は、初度の執行猶予(25条1項)の適格性を否定するものである。実務上、執行猶予期間中の再犯に対して再度執行猶予を付すには、刑法25条2項(再度の執行猶予)の厳格な要件(1年以下の懲役・禁錮かつ情状に特に酌量すべきものがあること)を検討すべきであり、1項の適用は排除されるという基本的な枠組みを示すものである。
事件番号: 昭和36(あ)1997 / 裁判年月日: 昭和37年3月22日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】保護観察付執行猶予の期間内にさらに犯罪を犯した被告人に対し、刑法25条2項ただし書の規定により、重ねて刑の執行を猶予することは法律上許されない。 第1 事案の概要:被告人は、以前に恐喝罪等により懲役2年・執行猶予3年・期間中保護観察に付する旨の判決を受け、当該判決が確定していた。被告人は、右保護観…