判旨
保護観察付執行猶予の期間内にさらに犯罪を犯した被告人に対し、刑法25条2項ただし書の規定により、重ねて刑の執行を猶予することは法律上許されない。
問題の所在(論点)
保護観察付執行猶予の期間内に再犯を犯した被告人に対し、刑法25条2項に基づき、重ねて刑の執行を猶予することができるか。刑法25条2項ただし書の解釈が問題となる。
規範
刑法25条2項ただし書は、前刑について保護観察に付せられ、その期間内にさらに罪を犯した者に対しては、再度の執行猶予を付することを禁止している。したがって、保護観察が取り消されることなく継続している期間内の犯行については、裁量的執行猶予の要件を満たさない。
重要事実
被告人は、以前に恐喝罪等により懲役2年・執行猶予3年・期間中保護観察に付する旨の判決を受け、当該判決が確定していた。被告人は、右保護観察が取り消されることなく継続している期間中に、さらに本件犯行(恐喝等)に及んだ。原審は、第1審の量刑が重すぎるとして、被告人に対し懲役6年・執行猶予3年の判決を言い渡した。
あてはめ
記録によれば、被告人は前刑の確定により保護観察の期間中にあった。本件は、その保護観察期間中の犯行であることが明白である。刑法25条2項ただし書は、同条項による再度の執行猶予を認める場合であっても「保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者」を除外している。被告人はこの除外事由に該当するため、法律上、執行猶予を付する余地はない。
結論
被告人に対し刑の執行を猶予することは法律上許されない。原判決が執行猶予を付したことは法令違反であり、著しく正義に反するため、原判決を破棄し、実刑(懲役6月)を言い渡すべきである。
実務上の射程
再度の執行猶予(刑法25条2項)の限界を画した判例である。答案上は、執行猶予の可否が問われる場面で、前科の有無だけでなく「保護観察の有無」をチェックし、25条2項ただし書への該当性を検討する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和25(あ)3496 / 裁判年月日: 昭和27年7月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予を付するか否かは事実審裁判所の自由裁量に属する事項であり、単にいわゆる犯意の継続があったからといって数個の行為を一罪として処断すべき法的義務はない。 第1 事案の概要:被告人両名に対し、第一審は懲役6月の実刑判決を言い渡した。被告人側は、犯意の継続があるため一罪として処断すべきであること、…
事件番号: 昭和35(あ)779 / 裁判年月日: 昭和37年11月16日 / 結論: 棄却
刑法第二五条第二項但書は、憲法第三九条後段、第一四条第一項に違反しない。