判旨
上告理由に当たらない主張や、職権調査によっても判決を破棄すべき事由(刑訴法411条)が認められない場合には、上告を棄却し、未決勾留日数を本刑に通算する。
問題の所在(論点)
上告趣意が刑訴法405条の上告理由に該当するか。また、同法411条に基づき職権により原判決を破棄すべき事由が存在するか。
規範
刑事訴訟法405条に規定される適法な上告理由に当たらない場合、または同法411条を適用して職権により判決を破棄すべき顕著な事由(法律の誤認、刑の不当、重大な事実誤認、再審事由等)が認められない場合には、上告を棄却すべきである。また、未決勾留日数の通算については刑法21条に基づき、訴訟費用の負担については刑訴法181条に基づき判断する。
重要事実
被告人および弁護人が上告を申し立てたが、その趣意は刑訴法405条が規定する適法な上告理由(憲法違反や判例違反など)に該当するかどうかが争点となった。裁判所が記録を精査した結果、原判決を維持することの是非が検討された。
あてはめ
弁護人および被告人が主張する上告趣意は、刑訴法405条に掲げる事由に当たらない。さらに、裁判所が記録を詳細に検討(精査)したが、著しく正義に反すると認められるような刑訴法411条各号所定の事由も一切見いだされなかった。したがって、原判決を維持することが相当であるといえる。
結論
本件上告を棄却する。当審における未決勾留日数のうち90日を本刑に通算し、訴訟費用は被告人の負担とする。
実務上の射程
本決定は極めて簡潔な形式的判断であるが、上告審において405条の理由がない場合でも、裁判所は411条による職権破棄の必要性を記録に基づき精査することを明示している。実務上、上告趣意が形式的に要件を満たさない場合であっても、実質的な救済の余地を検討する裁判所の態度を示すものである。
事件番号: 昭和26(あ)1150 / 裁判年月日: 昭和26年8月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して職権で判決を取り消すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が上告を申し立てたが、提出された上告趣意書の内容、および事件記録の精査の結果、原判決に特段の問題は認められなか…