判旨
弁護人が公判期日変更申請を却下されたことにより欠席した場合であっても、国選弁護人が選任され、かつ当該申請の却下が被告人に不利益をもたらさない特段の事情があるならば、訴訟手続に違憲の違法はない。
問題の所在(論点)
弁護人の公判期日変更申請を却下し、私選弁護人不在のまま国選弁護人によって公判を進めた原審の訴訟手続が、被告人の防御権を侵害する憲法違反・手続違法に当たるか。
規範
公判期日変更申請の許否に関する裁判所の裁量権の行使については、弁護人が欠席するに至った経緯のみならず、代替的な弁護活動が確保されているか、及び当該手続の進行が被告人の防御権を実質的に侵害し不利益をもたらすかという観点から判断すべきである。
重要事実
第一回公判期日において、弁護人(黒川)による期日変更申請が許容されず、同弁護人は欠席した。これに対し、裁判所は国選弁護人(宮武)を付し、同国選弁護人は欠席した弁護人が作成した控訴趣意書に基づいて弁論を行った。また、当該控訴趣意には刑事訴訟法393条1項但書による事実取調の請求なども含まれていなかった。
あてはめ
本件では、私選弁護人が欠席したものの、国選弁護人が付されており、かつその国選弁護人は私選弁護人が作成した控訴趣意書を引用して弁論を行っている。さらに、内容面においても特段の証拠調べ請求等が予定されていなかったことから、期日変更を認めなかったことが被告人に実質的な不利益を来したとは認められない。したがって、裁判所の裁量行使に違法はない。
結論
弁護人の期日変更申請を認めず国選弁護人により審理を進めた手続に違憲・違法はなく、これに伴う訴訟費用の負担命令も正当である。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(れ)1774 / 裁判年月日: 昭和26年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が適法な召喚を受けながら正当な理由なく公判期日に出頭しない場合、弁護人が出頭して審理がなされたとしても、その審判手続に違法はない。 第1 事案の概要:被告人は、原審の第1回から第3回の公判期日に向けて、それぞれ数ヶ月から数週間前に適法な召喚状の送達を受けていた。しかし、被告人はいずれの期日に…
弁護人の期日変更権が濫用される場合や、迅速な裁判の要請がある場面において、弁護権の形骸化を回避しつつ審理を進行させるための裁量権行使の限界を示す判例として活用できる。特に「被告人への実質的不利益の有無」を判断の決め手とする点は、実務上の重要な指標となる。
事件番号: 昭和25(あ)1395 / 裁判年月日: 昭和26年11月20日 / 結論: 棄却
「必要的弁護の事件において裁判所が公判期日の前日に弁護人を国選することは当を得たものではないが、その一事により直ちに弁護権の行使を不法に制限したものとはいえない」ことも当裁判所の判決に示されている(昭和二三年(れ)第一四八八号同二四年七月一三日大法廷判決)。されば、原審が所論のように公判期日二日前に弁護人を国選したとし…
事件番号: 昭和24(れ)1474 / 裁判年月日: 昭和24年8月9日 / 結論: 棄却
一 訴訟手續に關する法規が改正された場合に新法を如何なる時から如何なる事件に適用するかは、經過法の立法に際して諸般の事情を勘案して決せらるべき問題であつて、法律に一任されているのである。(昭和二三年(れ)第一五七七號、同二四年五月一八日當裁判所大法廷判決参照) 二 刑訴應急措置法第一三條第二項は、上告に際し、人種、信條…