貸金業等の取締に関する法律の附則の規定は届出書が提出されることを前提とした規定であつて届出書を提出せずして引続き貸金を業とする行為まで保護する趣旨ではない。
貸金業等の取締に関する法律の附則二、三項の趣旨
貸金業等の取締に関する法律附則2項,貸金業等の取締に関する法律附則3項
判旨
貸金業等の取締に関する法律の附則は、届出書の提出を前提とした規定であり、届出をせずして引き続き貸金を業とする行為まで保護する趣旨ではない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律の附則による経過措置の範囲が、届出を欠いたまま営業を継続する行為にまで及ぶか(届出なき継続営業の違法性)。
規範
法律の附則において経過措置が設けられている場合であっても、その適用は当該規定が前提とする適法な手続(本件では届出書の提出)を履践していることを要件とする。手続を怠り、無届で営業を継続する行為は、当該附則による保護の対象外であり、処罰の対象となる。
重要事実
被告人は、貸金業等の取締に関する法律の施行後、同法附則が定める届出書を提出することなく、引き続き貸金業を営んだ。弁護人は、同法附則の規定により当該行為が保護されるべきであり、無届営業を処罰することは憲法違反または法令違反であると主張して上告した。
事件番号: 昭和27(あ)1063 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律3条に基づく届出義務に違反し、猶予期間経過後も無届で貸金業を営む行為は、同法5条(現行の貸金業法違反に相当)の処罰対象となる。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)3条により、大蔵大臣への届出が義務付けられていた。同法附則2項には届出に関する猶予…
あてはめ
同法附則の規定は、あくまで届出書が適正に提出されることを前提としたものである。被告人はこの届出手続を履践しておらず、義務付けられた手続を無視して営業を継続している。したがって、本件行為は附則の予定する保護の範囲に含まれず、法違反を構成すると評価される。
結論
本件貸金行為は同法附則により保護されず、処罰を免れない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
新法制定時の経過措置の解釈に関する判断であり、法的な手続(届出・申請等)を要件とする猶予規定において、その手続を怠った者にまで恩恵は及ばないという当然の理理を示したものとして、行政刑法の分野で参照し得る。
事件番号: 昭和27(あ)4875 / 裁判年月日: 昭和30年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律に基づく届出制は、適正な届出さえ行えば誰でも自由に貸金業を営めるものである。したがって、無届で営業したことによる刑事罰の適用は、憲法上の権利を不当に制限するものではない。 第1 事案の概要:被告人は「貸金業等の取締に関する法律」に基づく届出を行わずに貸金業を営んだ。同法3…
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和27(あ)1116 / 裁判年月日: 昭和28年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧貸金業法に基づく届出を怠り、貸金業を行うことができなくなった後であっても、従来の貸金債権に係る利息等を受領する行為には、同法の利息制限規定(5条)が適用される。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の施行前から貸金業を営んでいた。同法附則2項は、既存の業者に対し一定期間…
事件番号: 昭和26(あ)2347 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における無届貸金業者に対する罰則規定は、経済活動の自由の合理的制限として憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出を行わずに貸金業を営んだとして、同法の罰則規定の適用を受けた事案。被告人は、当該罰則規定が憲法の保障する経済的自由…