所持罪における所持とは、社会観念上一定の人が一定の物につき事実上の支配を為し得る地位にありと認むべき関係をいうのであるが、それが二人以上の者の意思の連絡の結果に出ずる場合には、これをもつて共謀による所持ということができる。
共謀による麻薬の所持罪が成立する一事例
刑法60条,麻薬取締法3条
判旨
所持罪における「所持」とは、社会観念上、特定の人が物について事実上の支配をなし得る地位にある関係をいう。また、二人以上の者が意思の連絡に基づき物品を支配する場合には、共謀による共同所持が成立する。
問題の所在(論点)
麻薬取締法等における「所持」の意義、及び二人以上が関与する場合に「共謀による所持(共同所持)」が認められるか。
規範
所持とは、社会観念上、一定の人が一定の物につき事実上の支配をなし得る地位にあると認めるべき関係をいう。また、かかる関係が二人以上の者の意思の連絡の結果として生じる場合には、共謀による所持(共同所持)が成立する。
重要事実
被告人Bは、共犯者Cとの間で意思の連絡(共謀)を図り、判示第一及び第二の麻薬を所持していた。被告人は、事実誤認や量刑不当のほか、共同所持の成否を争って上告した。
あてはめ
麻薬の所持について、被告人と共犯者Cとの間に意思の連絡があったことが証拠により認められる。この意思の連絡に基づき、両名が麻薬に対して事実上の支配をなし得る地位にあったといえるから、社会観念上の事実上の支配、すなわち所持が認められる。したがって、被告人には共謀による所持が成立すると解される。
結論
被告人と共犯者との間に意思の連絡がある場合、共謀による所持が成立する。本件においても、被告人の麻薬所持罪の成立を認めた原判断は正当である。
実務上の射程
禁制品の「所持」概念を「事実上の支配」と定義し、かつ共同正犯の法理を適用して「共同所持」を肯定したリーディングケースである。答案上では、物理的な把持がない場合や、複数人で隠匿・管理している場合の実行行為性を論じる際の規範として用いる。
事件番号: 昭和26(れ)338 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 棄却
麻薬取締規則にいう所持とは麻薬を自己の支配内に置くことをいうのであつて所論の如く麻薬取扱者でない者が麻薬を他へ販売、授与等何等かの危険性を伴う行為をなす意図を有することを要するのではない