論旨第一は、検察官だけの控訴申立による控訴判決において控訴法上判断を示すべく要請されていない弁護人の弁論について原判決が判断等をしていないのを独自の見解で違法、違憲であると主張するに過ぎないのであるから、結局理由のない単なる訴訟法違反の主張に帰する。
検察官のみが上訴をした場合と弁護人の弁論について判断することの要否
刑訴法392条,刑訴法396条,刑訴法397条
判旨
検察官のみが控訴を申し立てた場合、控訴審判決において弁護人の弁論に対して判断を示す義務はなく、これを行わなくても訴訟法違反や理由不備の違法は認められない。
問題の所在(論点)
検察官のみが控訴を申し立てた控訴審において、判決書が弁護人の弁論に対して判断を示していないことが、刑事訴訟法上の理由不備または訴訟法違反(刑訴法405条の上告理由)に該当するか。
規範
検察官のみが控訴を申し立てた控訴審において、裁判所は、訴訟法上、弁護人の弁論に対して個別に判断を示すことを要請されていない。したがって、これに対する判断の欠如は、判決書に付すべき理由の不備や訴訟法違反には当たらない。
重要事実
被告人AおよびBの刑事事件において、検察官のみが控訴を申し立てた。控訴審判決に対し、被告人側の弁護人は、判決が弁護人の弁論について判断を示していないこと等を理由に、理由不備や訴訟法違反、さらには憲法違反を主張して上告を申し立てた。
あてはめ
本件では、検察官のみが控訴を申し立てている。このような訴訟構造において、控訴審判決が弁護人の弁論内容について判断を示さなかったとしても、それは「判決書に判示すべき必要のない事項」に関するものといえる。したがって、被告人側の主張する「理由不備」や「判断遺脱」の指摘は、独自の訴訟法解釈に基づくものに過ぎず、適法な上告理由を構成しない。
結論
控訴審判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
検察官のみが控訴した事案において、控訴審判決の理由の程度を限定的に捉える実務上の基準を示す。被告人側が理由不備を主張する際の反論として、判示すべき事項の範囲を画定する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)1628 / 裁判年月日: 昭和26年10月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない事案について、記録を精査しても同法411条の職権破棄事由を適用すべきものとは認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が控訴審判決に対し上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意の内容については、刑事訴訟法405条の上告理由…