判旨
被告人が第一審において証拠とすることに同意し、かつ公判供述でその内容を認めている場合には、警察での供述の任意性を否定することはできない。
問題の所在(論点)
被告人が第一審で証拠同意し、かつ内容を認める公判供述を行っている場合に、警察段階での供述の任意性が否定されるか(刑訴法319条1項、326条)。
規範
被告人が第一審において証拠とすることに同意し(刑事訴訟法326条)、さらに公判廷において当該供述内容が真実である旨を認める供述を行っている場合、特段の事情がない限り、当該供述の任意性を肯定すべきである。
重要事実
被告人が警察において作成された供述調書について、第一審の段階で証拠とすることに同意した。さらに、被告人は第一審の公判期日において、警察で述べた内容は事実に相違ない旨の供述を行っていた。その後、上告審において当該供述の任意性等が争われた事案である。
あてはめ
本件において、被告人は問題となっている警察での供述調書につき、第一審において自ら証拠とすることに同意している。また、第一審の公判という公開の法廷において、警察での供述内容は事実であると重ねて認めている。このような経過に照らせば、警察での供述が不当な圧迫等により強制されたものとは考え難く、任意性に疑いはないと評価される。
結論
被告人が自ら同意し、かつ公判で内容を認めている以上、警察での供述が任意でないと認めることはできず、上告を棄却する。
実務上の射程
証拠同意(326条)の法的性質や任意性の判断において、公判での被告人の態度が決定的な考慮要素となることを示している。実務上は、一度同意・自白した内容を上告審で覆すことの困難さを裏付ける判例として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)610 / 裁判年月日: 昭和27年5月20日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和28(あ)601 / 裁判年月日: 昭和30年4月22日 / 結論: 棄却
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