判旨
違法な逮捕・拘束中に行われた供述録取書類であっても、その供述の任意性が認められる限り、直ちに証拠能力が否定されるものではない。
問題の所在(論点)
違法な逮捕・拘束下で作成された供述録取書類の証拠能力(刑事訴訟法319条1項・322条1項、および違法収集証拠排除法則の成否)。
規範
逮捕・勾留の手続に違法があったとしても、そのことのみをもって直ちにその後の手続が違法となるものではなく、当該拘禁中に作成された供述録取書類であっても、供述の任意性が認められる限り証拠能力は認められる。
重要事実
被告人は連合国占領軍の軍政部の指示に基づき、関税法違反の疑いで逮捕・留置された。その拘禁中に大蔵事務官による質問調書が作成され、さらに事件が検察庁に送致された後も拘禁が継続された状態で検察官による弁解録取書が作成された。裁判官による勾引状・勾留状が発せられ執行されたのはその約9ヶ月後であった。弁護人は、これら一連の逮捕・拘禁手続が違法であり、その間に作成された調書等には証拠能力がないと主張して上告した。
あてはめ
本件における被告人の逮捕・拘束手続が適法であったかについては、占領軍の指示に基づく特殊な状況もあり究明を要する。しかし、仮に当該手続が違法であったとしても、先行する逮捕・拘禁の違法性は当然にその後の証拠収集手続を無効とするものではない。原判決が当該状況下での供述について、個別にその任意性を肯定している以上、憲法または刑事訴訟法上の証拠能力の制限には抵触しない。したがって、当該質問調書および弁解録取書を証拠として採用した判断に違法はない。
結論
被告人に対する不当な拘禁があったとしても、供述の任意性が認められる限り、当該拘禁中に作成された調書等の証拠能力は肯定される。
実務上の射程
本判決は違法収集証拠排除法則が確立する前の古い判例であり、現在の実務では「重大な違法」があり「証拠として許容することが将来の違法捜査抑制の見地から相当でない」場合には排除される可能性がある点に注意が必要である。ただし、自白の証拠能力に関しては依然として「任意性」が第一次的な判断基準となるため、違法な拘束と自白の因果関係を遮断するロジック(任意性の確保)として検討の余地がある。
事件番号: 昭和36(あ)55 / 裁判年月日: 昭和36年12月27日 / 結論: 棄却
いわゆるすり替輸出の方法により甲物品に代えて乙物品を船積輸出する目的であるため、甲物品については当初からこれを真実船積輸出する意思がない場合でも、甲物品を保税上屋に搬入し税関から輸出の許可を得た以上、これを船積しないで保税上屋から引き取ることは、関税法第二条第一号にいう「輸入」にあたる。