本件被告会社の所為は物品税逋脱の目的を以て所轄税務署に対し第一審判決判示製造所から移出販売した被告会社の製品を故意に過少に記載し、ことさらに残余の数量価額等を秘匿した内容虚偽の申告書を提出し、且つ申告の内容に相当する物品税額のみを納付し以て物品税額に相当する金額を逋脱したというのであるから第一審判決の擬律は相当であり、原判決のこの点に関する判断も亦正当である。(昭和二三年(れ)第一七三八号同二四年一二月一三日第三小法廷判決参照)
物品税逋脱罪が成立する事例
物品税法18条1項
判旨
物品税の逋脱罪において、製造所から移出販売した製品を故意に過少記載し、虚偽の申告書を提出して税額を秘匿する行為は、「偽りその他不正の行為」に該当する。
問題の所在(論点)
申告納税制度等において、故意に売上や移出数量を過少に記載した虚偽の申告書を提出し、残余を隠蔽する行為が、逋脱罪の構成要件である「偽りその他不正の行為」に該当するか。
規範
納税義務者が、税を免れる目的をもって、課税対象となる数量や価額を故意に過少に記載し、虚偽の申告書を提出して残余を秘匿する行為は、不正な手段により税を免れる行為として逋脱罪を構成する。
重要事実
被告会社は、物品税を免れる目的で、所轄税務署に対し、製造所から移出販売した自社製品の数量や価額を故意に過少に記載した。その上で、残余の数量や価額等をことさらに秘匿した内容虚偽の申告書を提出し、その虚偽の申告内容に相当する税額のみを納付することで、本来納付すべき物品税額に相当する金額を免れた。
あてはめ
被告会社の行為は、単なる申告漏れではなく、物品税を免れるという明確な目的(逋脱の目的)に基づいている。製造所から移出販売した製品という課税物件について、故意に過少な記載を行い、かつ、実際の数量や価額を「ことさらに秘匿」して虚偽の申告書を提出している点において、税の徴収を著しく困難にする欺罔的行為が認められる。また、申告した過少な税額のみを納付していることから、差額分を不正に免れたという実態も認められる。したがって、一連の所為は虚偽の申告による不正な脱税行為といえる。
結論
被告会社の行為は物品税の逋脱罪を構成し、第一審の擬律は正当であるとして、上告を棄却した。
実務上の射程
租税法における脱税(逋脱罪)の成立要件である「不正の行為」の典型例(過少申告+隠蔽工作)を示す判例として、実務上参照される。故意の過少記載と積極的な秘匿行為がセットになることで、単なる過失による不申告等と区別されることを明確にしている。
事件番号: 昭和26(あ)592 / 裁判年月日: 昭和31年3月20日 / 結論: 破棄自判
昭和二三年法律第一〇七号による物品税法改正前において、政府に申告しないで、サツカリンを製造した行為は、右改正前の同法第一九条第一項第二号違反の罪として処罰すべきもので、同法第一八条違反の罪として処罰すべきでない。
事件番号: 昭和36(あ)188 / 裁判年月日: 昭和37年2月22日 / 結論: 棄却
物品税の納税義務者の従業員がその義務者の業務に関し不正行為をもつて物品税を逋脱した場合には、金員着服の目的によるときであつても、物品税法第一八条第一項第二号の罪が成立する。