物品税の納税義務者の従業員がその義務者の業務に関し不正行為をもつて物品税を逋脱した場合には、金員着服の目的によるときであつても、物品税法第一八条第一項第二号の罪が成立する。
物品税の納税義務者の従業員が金員着服の目的でその義務者の業務に関し不正行為をもつて物品税を逋脱した場合と物品税法第一八条第一項第二号の罪の成否
物品税法18条1項2号,物品税法22条
判旨
納税義務者の従業員がその業務に関し、不正行為により物品税を逋脱した場合、その目的が納税義務者の利益か自己の着服か、あるいは他罪の成否を問わず、行為者は物品税法違反の罪責を負う。
問題の所在(論点)
納税義務者ではない従業員が、業務に関して税を逋脱した場合に、物品税法違反(逋脱罪)の主体となり得るか。また、その目的が自己の利益(着服)であった場合に結論が左右されるか。
規範
納税義務者の従業員が、その義務者の業務に関して自らの不正行為をもって税を逋脱した場合には、たとえ納税義務者たる法人が罪責を負うとしても、行為者自身が刑法上の罪責を負担しないと解すべき根拠はなく、行為者個人も逋脱罪の責任を負う。その際、不正行為が納税義務者の利益のためになされたか、あるいは行為者個人の金員着服の目的であったかは、罪の成否に影響しない。
重要事実
製造業者である法人の従業員(被告人)が、その業務に関して不正な行為を行い、物品税法上の税を逋脱した。被告人は、当該行為が自己の金員着服の目的であったことや、納税義務者(法人)のみが罪責を負うべきであることなどを理由に、自己の刑事責任を否定して上告した。
あてはめ
被告人は納税義務者たる法人の従業員であり、その業務に関して不正行為を行っている。この場合、物品税法18条1項2号の規定に基づき、行為者が自己の利益のために着服する意図があったとしても、業務に関連する脱税行為である以上、同条の責任を免れることはできない。法人に罪責が帰属することは、行為者個人の処罰を妨げるものではなく、民事上の責任や他罪の成否にかかわらず、逋脱罪の構成要件を充足すると評価される。
結論
被告人は物品税法違反の罪責を負う。納税義務者の法人のみが罪責を負うものではなく、使用人である被告人も刑法上の罪責を免れない。
実務上の射程
身分犯(納税義務者)の規定であっても、両罰規定や行為者を罰する規定がある場合、行為者の主観的意図(自己の利益か法人の利益か)を問わず、実行行為を行った従業者に正犯性が認められることを示す。行政刑法における行為者処罰の根拠を論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)592 / 裁判年月日: 昭和31年3月20日 / 結論: 破棄自判
昭和二三年法律第一〇七号による物品税法改正前において、政府に申告しないで、サツカリンを製造した行為は、右改正前の同法第一九条第一項第二号違反の罪として処罰すべきもので、同法第一八条違反の罪として処罰すべきでない。