物品税逋脱の意思による場合であつても、単に法定の申告書を提出しないで右税を免れたというだけでは、物品税法(昭和二四年法律第二八六号による改正前のもの)第一八条第一項の罪(物品税逋脱罪)は成立しない。
物品税脱達の意思による決定の申告書の不提出と物品税逋脱罪の成否。
物品税法(昭和24年法律286号による改正前のもの)18条1項,物品税法(昭和24年法律286号による改正前のもの)19条1号,物品税法(昭和24年法律286号による改正前のもの)8条1項
判旨
物品税法等における「詐欺その他不正の行為」とは、単なる申告の欠如(不申告)を指すものではなく、税の逋脱を目的とした積極的な虚偽の工作等の行為が伴う場合に限られる。
問題の所在(論点)
租税逋脱罪の構成要件である「詐欺その他不正の行為」の意義。特に、納税義務者が税を免れる目的で故意に申告をしない「単純不申告」が、この概念に含まれるか否か。
規範
「詐欺その他不正の行為」により税を免れた行為が処罰されるためには、詐欺その他不正の手段が積極的に行なわれた場合に限られ、かかる行為を伴わないいわゆる単純不申告の場合にはこれに該当しない。
重要事実
被告人会社及び被告人Cらは、物品税法に基づき納税義務を負っていたが、同税を免れる目的で故意に法定の申告を行わなかった。原審は、この「単純不申告」の事実を捉え、当時の物品税法18条に規定される「詐欺その他不正の行為」に該当するとして、有罪判決を下した。これに対し、被告人側が過去の最高裁判例(所得税法に関する判例等)に反するとして上告した事案である。
あてはめ
最高裁は、先行する判例(昭和24年7月9日第二小法廷判決等)を引用し、租税の不申告が「詐欺その他不正の行為」として処罰の対象となるのは、単に申告をしないという不作為にとどまらず、積極的な不正手段が用いられた場合に限定されるべきであると判示。本件における「単純不申告」を「詐欺その他不正の行為」に含め、有罪とした原判決は、判例の趣旨に反する判断をしたものと解される。
結論
単純不申告は「詐欺その他不正の行為」には該当しない。したがって、原判決のうち単純不申告を理由に有罪とした部分は破棄を免れず、差し戻されるべきである。
実務上の射程
租税法上の逋脱犯における「不正の行為」を厳格に解釈するものであり、罪刑法定主義の観点からも重要である。現代の所得税法や法人税法等の脱税犯においても、単なる不申告(単純不申告罪)と「不正の行為による逋脱(重罰)」を峻別する際の解釈指針として機能する。
事件番号: 昭和26(あ)1885 / 裁判年月日: 昭和28年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】物品税の逋脱犯の成否について、所得税法における単純不申告に関する判例は、課税手続等の著しい相違を理由に適用されない。 第1 事案の概要:被告人が物品税の逋脱により起訴された事案において、弁護人は、所得税法に関して「詐欺その他の不正行為を伴わない単純不申告は処罰できない」とした最高裁判例(昭和24年…